上田です⇒
ただ今、21時16分42秒⇒さて何を書こうかな⇒今日は書くことないな⇒隣の席の男の子は、いやにキーボードを強く叩く⇒そんなに強く叩くと、文字が太ゴシックになっちゃうぞ⇒なるわけないぞ⇒顔を上げると遠くのほうで天然パーマの先輩が、立ったまま帽子で自分を扇いでいる⇒帽子はうちわじゃないぞ⇒その先輩の正面に立っているノースリーブ姿の女の先輩が、思いっきり両手をあげて伸びをした⇒この時間帯だとわき毛がはえてるかもしんないっすよ、と心の中で忠告する⇒隣の席の男の子が小指で鼻をほじった⇒あんまり凝視すると悪いので、すぐに目をそらす⇒会社の電話が鳴った⇒いやいや立ち上がり、受話器を取る⇒はい電通です⇒後ろの席の○○さんあて⇒いないと伝える⇒じゃあケータイのほうにかけてみます、と言われた⇒はじめからそうしてよ、もう⇒ついでに自分の携帯の着信を確認する⇒最近待ち受け画面をauのリスモにした⇒かわいい⇒数時間前の妹からの電話を最後に着信もメールもない⇒ちょっと哀しんでみる⇒また電話が鳴ったけど、フロアの遠くだからまあ出なくていいか⇒子供の頃は、お昼の12時半近くに鳴った電話に出ると、タモリと話せるような気がしていたことを思い出す⇒「いいとも!」って元気よく言えたらアルタに行けるんだって⇒左隣にいる部長のケータイが鳴る⇒なんか話してる⇒はいはいそれじゃあねと穏やかな口調⇒足音がしたので顔をあげると、後輩の女の子が歩いてきている⇒茶髪で丸顔の、名前は知らない⇒その子とすれ違いに別の先輩が席に戻ろうとしている⇒これまた天然パーマで童顔の、名字は知ってるけど下の名前までは知らない⇒きょうはなんようだっけ、と入力して変換したら⇒京は南洋だっけ、となった⇒へんなの⇒今日は何曜日だっけ⇒金曜日だ⇒だから会社に人が少ないのか⇒毎日水曜だったら、毎日新しい週刊マガジンが読めるのに⇒コーヒーを飲もうとしたら、カラだった⇒コーヒーを入れに立ち上がる⇒クリープを先に入れたあと、コーヒーを注ぐことに最近凝っている⇒そうすると、かき混ぜる手間がはぶける⇒向かいに座っているジージャンを着た先輩が帰って行った⇒何も言わずに帰って行った⇒普段なら声をかけてくれるはずなのに⇒ぼくがイヤホンしてるから気を遣ってくれたのかもしれない⇒イヤホンから聞こえる女性のボーカルは、サムデーイ♪と歌っている⇒小説家だったら、ヴォーカルと書くはず⇒そうだ!⇒毎日金曜だったら、毎日週末だ⇒一瞬うれしかったけど、それは勘違い⇒がっくり⇒そうだそうだ⇒お詫びと連絡がひとつずつあった⇒お詫び⇒昨日書いたアフリカのトラのことですけど⇒アフリカにトラはいないそうです⇒どうもすみません⇒自分の無知が恥ずかしいです⇒連絡⇒来週から引き継いでくれるのは⇒渋江俊一さんです⇒渋って字がほんとはこうじゃなくて⇒さんずいに止が3つ⇒かっこいいんです、彼⇒髪切った直後なんて、頭がきゅっと小さくて⇒顔のひとつひとつのパーツがシンプルで、うまく並んでる⇒そんな人⇒うらやましいぞ⇒おとといトイレに入っていく後姿を見かけたけど、派手な軍パンはいてました⇒あ!⇒トイレで思い出したけど、さっきからおしっこしたかったんだ⇒トイレ行ってきます⇒帰ってきました⇒おしっこする前に手を洗ったもんだから、結局手は汚いまま⇒ここから先書くことは、みなさんの目に若干しみるかも⇒なわけない⇒頭から読み返してみたけど、これおもしろいのかな⇒まあいいや読むのはぼくじゃないし⇒でも、読みにくかったらごめんなさい⇒さっきの帽子で扇いでいた先輩とわき毛の女先輩が、連れ立って会社を出て行く⇒飲みにいくようだ⇒なんの話題で盛り上がるのだろうか⇒(うちわの先輩)子供の頃、12時過ぎに電話かかってきたら、タモリと話せると思ってなかった?(わき毛の先輩)思ってた思ってた!⇒もしこの話題だったらすごい⇒ぼくももう帰ろう⇒結局コーヒーは一口しか飲まなかった⇒気付いたら、まわりには誰もいない⇒おおとや、と入力して変換しても⇒大戸や、にしかならないので⇒大戸のあと、屋根、と入力して根を削除する⇒大戸屋で炭火焼さば定食食べて帰ろう⇒最後まで読んでくれた方に、きちんとお礼を言わないと⇒今週はどうもありがとうございました⇒最後にもう一度読み返してみて細かく直す⇒遠くにあるファックスが紙を吐き出す音を立て始める⇒静かな時間⇒ただ今、23時38分。
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