冬の影
とあるクライアントのロビーにて。
打ち合わせまでの待ち時間、
ずっと窓の外を眺めていました。
ビルの35階から見おろすと、
人も車もフィギアのように小さくて、
逆にその影は、とてつもなく長々とのびています。
人間の影なのに、小さなビルの高さ分くらい、
アンバランスにのびています。
あーもう冬なんですね。
ずっと眺めているうちに、その長い影が、
人が背負っているもののようにも見えてきます。
そのうち、影のほうがご主人で、
人の体がおまけのようにも見えてきます。
誰ひとり立ち止まることなく、
ゼンマイ仕掛けのようにせかせか歩いて、
ネズミ色や茶色の箱に入ったり、出てきたり。
人間って大変だなぁ。
生きていくって大変だなぁ。