リレーコラムについて

カエルとコピーライター

佐々木康晴

こんにちは、佐々木康晴です。

最後はまじめに、海外の広告代理店でのお仕事のことを、
すこし書いてみようかと思います。

前にちょっと触れましたが、
僕は去年の夏から、半年間の海外留学に行っていました。
留学の後半は、ニューヨークの広告代理店2つ、
IconNicholsonというインタラクティブエージェンシーと
Strawberryfrogというクリエーティブエージェンシーで
働かせてもらっていました。

もちろん、前にお話したように、僕は英語でコピーなんて書けないので、
主な仕事は、インタラクティブの「企画」です。
現地のコピーライター、アートディレクターたちに混じって、
ボロボロの英語とポンチ絵で、案出しマシーンをしてました。

毎日、背中で冷や汗かきまくりでしたが、
でも、ここでの仕事は、むちゃくちゃ面白かったんです。

このコラムで全部を語るのは難しいですけど、
良かったところをかいつまんで書くと、
あちらは、クライアントと代理店の信頼関係がしっかりできている分、
大胆なアイデアだってきちんと聞いてもらえる、とか、
毎日のように朝ご飯や昼ご飯を会社で出してくれる、とか、
社内ではひとりのCDが全責任をもって全クリエーティブを見るから、
よけいな人の意見で案が鈍ったりしにくい、とか、
会社のパーティがやたらと凝っててすごく盛り上がる、とか、
従来型の広告の形にとらわれず、みんなが自由に、
いろんなメディアを使ったアイデアをだせる、とか、
プレゼンがとにかくかっこいい、とか、
冷蔵庫のビール飲み放題、とか、
ともかく、毎日が楽しくてしかたなかったんです。
日本の会社に戻りたくないなぁ、とか、ちょっとだけ思いました。
これも部長には内緒です。

でも、実際に体験してみて思ったのですが、
欧米のクリエーティブは進んでいて日本が遅れているとか、
日本は欧米みたいにカンヌを穫れないからダメだとか、
そんなことは無いんだな、と。
個々のコピーライターやアートディレクターが出すアイデアは、
日本もアメリカも、変わらないレベルだと思いました。
インタラクティブに関しては、日本のほうが進んでいるかも、
とも思うくらいです。
ただ、その企画を、ビジネスとして実現させるプロセスは、
やはりあちらは一歩リードしている。
僕らが、ああ今回はここまではできないかなー、と、
CDに見せず引っ込めてしまう案を、
クライアントにきちんと話して通して実施する力があるのは、
見習いたいなぁ、と思いました。

2社目のstrawberryfrog は、8年前にアムステルダムでスタートした
小さなエージェンシーです。
この名前は、大きくて鈍い恐竜のような代理店になるのではなくて、
小さくてすばしこくて、でも猛毒を持っているカエルでありたい、
というところからついた名前だそうです。
ほんとにみんな楽しそうに働いていました。
僕は日本に戻ってきてしまいましたが、
どこにいて、どこの会社に所属していても、気持ちとしては、
ずっとあんなカエルの一匹でありたいな、と今でも思っています。

さて、そろそろ終わります。
ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございました。

さて、来週のリレーコラムは、
僕にコピーを教えてくださったお師匠のひとり、塚越康仁さんです。
入社したときにプレゼントしてくれたステッドラーのエンピツ、
まだ、大事に使ってます、先輩!

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