浅草酔話。
浅草は、正直メシの美味いところは多いのですが、
居酒屋となるとからっきしな街ですね。
最近JRA裏の「ホッピー通り」なる一角がもてはやされていますが、
ゴリゴリの煮込みで、ホッピー一杯4〜500円とるのは人間として許せません!
というわけで仲見世西側の[松風]です。正一合枡で量る、
酒屋の角打ちのように簡素な酒場。
私は親父から教わりました。昔は3杯で一旦清算。店を出て再入場という
決まりだったとか。
税法上の問題だったそうですが、今では本当に三杯でおしまい。
藪蕎麦の従業員がやるように、注文ごとに符牒を歌うように伝えます。
肴はほとんど美味いものがなく、以前まではそのかわりに刺身などが持ち込めたとか。
酒のお代わりを頼むと「一の代わり」、「二の代わり」と称する小皿が出るのは
[伊勢藤]同様。
中身は昆布の佃煮が数切れ、なんて内容ですが、これが好きでしてねえ。
某日本酒評論家に「大手酒造のまずい酒ばかり置いている」と叩かれ、
地方の酒や、冷酒、吟醸酒なども置くようになりました。気にしなくたっていいのに。
その分どんどん近代化し、最近は開店時間も少しずつ遅くなってきております。
これは本当に困った傾向です。この店は午前開店でちょうどいい!
あまり嬉しくない女性客や観光客が増え、店としてはやや複雑な気持ちなのは
分かりますが、常連で混む開店直後の時間は「会員制」を取り、一人客をシャットアウト。
これはちょいと野暮じゃないかい?
いずれにしろ浅草は神楽坂と違い、むしろ二軒目以降の選択肢は抱負ですから
これからも末永くよろしく、と思っていたのですが……….
件の[伊勢藤]当主によれば、この店も今年一杯で廃業という噂です。
今度は浅草の一軒目が困っちまうなあ。[神谷バー]はちょいと役不足だしね。