富良野の人は、いいました。
佐々木望
はじめまして、佐々木望です。
築地にある電通テックで働いています。
今年、新人賞をもらいました。
今週は、いまでもときどき思いだす
いろんな人たちの言葉とそのまわりを書いてみます。
はじめて書くものもあるし、
誰かに話したことがあるのもあります。
今日は、大学生のときのこと。
秋のはじめごろに、男3人で車を借りて
北海道を旅したことがありました。
札幌とか小樽とか十勝とか釧路とか、いろいろ。
道程には、富良野も入ってました。
僕は「北の国から」が好きなので、
黒板吾郎の家にいってみたりしました。
夜は、ライダーズハウスに泊まりました。
ずっと富良野に住んでいるという
70歳くらいの夫婦がやっていました。
その晩は、ほかにお客さんがいなくて、
僕たち3人は、その老夫婦と話していました。
さいきんの富良野はどうなんですか?
そんな曖昧なことを聞いたら、旦那さんがいいました。
「富良野からは、いい人とわるい人が出ていく。」
ひところの観光産業に乗っかって儲けた人は、
それを元手に富良野をはなれた。
そしていま(といっても、もう10年前ぐらいですけど。)
富良野は景気がよくなくて、
職を探しに、しかたなく札幌などの都市へ出ていく。
わたしたちは、よくもわるくもない人。
奥さんは自分たちのことを、そんな風にいいました。
旦那さんは、いろりのくすぶった炭を
鉄の長い箸でつついていました。
鉄瓶の細い口からは、
湯気がポポポと立ちあがっていました。
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