リレーコラムについて

31歳の実話。

武井慶茂

その日の箱根は、チラチラと雪が舞っていた。
山はすでに暗く、明かりといえば旅館からもれる電球の
光だけ。
そんな中、男は不慣れな街の不慣れな道を全力で走っていた。
遠慮なく男の身体を貫く冷たい風。
しかし、男には関係がなかった。男には走らなければならない
理由があったのだ。
山奥の旅館で起こった突発的な事故。
男は、その問題を解決するために、そして愛する女のために
薬局に急がなければならなかったのだ。

大きく乱れた浴衣の胸元に、
肌をさす風はさらに強く襲いかかる。
旅館のサンダルは足の甲に食い込み、血がにじむ。

そんな時間が30分近くに及び、
男はようやく一人の老人と出会う。

「すいません、薬局はこっちの道であっていますか!」

たかが薬局への道を聞く男の様子が尋常でないことに
気づいた老人は言った

「そんなに焦らないでも、薬局は逃げはせんと」

そんな言葉も男には届かない。
男は必死だった。

それでもこの道が正しいことを確認できた男は、
さらに歩を進めた。

しばらく行った先に薬局はあった。
男の期待とは違った形で。

山奥の薬局はすでに閉まっていたのだ。
懸命にシャッターをたたく男。
その手はすでに真っ赤になっている。

「開けてください。お願いします。開けてください。」

冷静であれば薬局が自宅と併設されていないことに
気づいたかもしれない。

しかし、男はあまりに必死だった。
「開けてください。お願いします!」

そして、遂に男の声は、叫びとも懇願ともとれるものに
変わった。

「お願いします!、、、、売ってください!コンドーム!」

箱根の山に無情に響き渡る声。

あきらめた男は旅館までの道を肩を落とし帰っていった。

しかし、男の頑張りを認めた女は
その晩、男を生身で受け入れることを許した。

箱根の夜に燃え上がる恋情。

その夜に生まれたのが、、、
もうお分かりですよね。

・・・ったく、オヤジ走んなや!
あやうくラバー1枚で人生を完封されるところだったやんけ!
あっぶねー。

すいません、この話、何度思い出してもキャラ変わるんですよね、ギリギリすぎて。

この話を、僕は成人式の日の晩に母から聞かされた。
母は笑っていたが、僕は内心で、本気でほっとしていた。

僕はどんな仕事でも、必ずダメもとで一本、エロいコピーを入れる。
そのルーツはたぶんここにあるのですね。

こんにちは。
名前も名刺も桃色の、桃林くんからコラムを引き継ぎました
パブリシスの武井です。

こんなしょーもない日記を、実はちょこちょことmixiで書いています。
しょーもない内容なので、マイミクさんが全然いません。
「せっかくだからなってやってもいいぜ」という心優しい皆様、
goodluck2007200020002000@yahoo.co.jpまでメールお待ちしております。
(それ以外の飲みのお誘いも是非!)

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