31歳の淡い恋心
誰にでも忘れられない恋がきっとあるはずで。
それは急に、胸の中、激しい痛みになって
僕らを傷つけるけど…
僕の好きなワイヨリカの曲の一節です。
この歌詞のとおり、誰にもふいに思いだす過去の恋愛が
あるのではないでしょうか。
戻りたい、やり直したい、とかそういうことではないのだけど
なぜか急に思い出す恋愛が。
僕の場合は、大学生の時に付き合っていたKさんだ。
大学3年の時に人生は交差し、1年ほどでまた離れた。
そして、あれから10年以上経った今年、
再び、道は交差した。
・ ・ ・ ・ ・ ・
群馬の夏は、涼しい。
これは、僕だけの思い込みかもしれないけれど
東京のうだるような暑さに比べると、風が吹き、緑があふれた
群馬は爽快だった。
群馬県富岡市。
そこにKさんは住んでいた。
大学進学によって遠距離恋愛になる、なんてよくあることだ。
僕たちも例外ではなかった。
歩いて20分の距離は、クルマで3時間の距離になった。
毎週末、僕は高速をぶっとばして富岡に向かった。
バイトで稼いだお金は、それ以上のスピードで
高速代とガソリン代にぶっとんでいったが
そんなことはまったく気にならなかった。
その日も、僕はいつものように関越自動車道を北上していた。
縮まる距離がうれしくて
アクセルを踏む足にも力が入る。
しかし、その日待っていたのは楽しい時間ではなく、
別れだった。
遊びに遊んだ帰りのクルマの中で、
「あなたには、もう恋していない」と言われた。
Kさんは、一度決めたら、曲げない人だったので
僕は理由を聞かなかった。
僕たちは、そのまま友達に戻った。
帰りの道を、泣きながら走ったのを覚えている。
その後、僕たちはヒマな時に電話したり、メールをするだけの
関係になった。
そして、その関係もいつしかなくなっていった。
どんなに好きだった人でも、時間は残酷にその記憶を奪う。
その声を、匂いを、体温を。そして、笑顔さえも。
僕も付き合った人の中に、思い出せなくなった人がいる。
だけど、彼女のことはなぜか覚えていた。
ちょっと不安定な感じのする彼女が、幸せであるか、
何となく心配で。
彼女は事あるごとに僕の記憶を刺激し、
ぼやけていく記憶の輪郭を塗り直した。
純粋で、涙もろくて、大きな目はちょっとつりあがって、
ショートカットが似合って、、、、
それくらいならすぐに思い出せた。
そして、Kさんと別れて10年。
突然、僕のPCになつかしいアドレスから一通のメールが届いた。
「久しぶりに会いませんか。相談したいこともあるし。」
いつもなんとなく彼女を思い出していた僕は、
その要求を受け入れた。
きっと、素敵な女性になっているんだろうな。
格好いい彼氏もできて。
もしかしたら、結婚の相談かもしれないな。
10年の月日が、Kさんを幸せにしたと思う
僕の想像は尽きない。
そして、再会の日。
彼女は、坊主頭のパンクロッカーになっていた。
悩みの内容は、ジョンレノンの入れ墨を入れたい、だった。
がちょーん。
教訓。
現実と想像の世界では、流れる時間の早さも質もまったく違う。
※
武井慶茂のリレーコラムは、すべて実話で構成されています。
ちなみに、僕はその相談に
「ジョンレノンの顔の入れ墨は、Kさんが将来太ると、
ジョンレノンも膨張してただのメガネのオッサンになっちゃうから、
せめて、刻むなら名前にした方がいいんじゃないかな」
と答えた。・・・我ながらカッコ悪すぎる。
こんなカッコ悪すぎる私とマイミクになってくれる
心優しき方は、
goodluck2007200020002000@publicis.co.jpまで
メールお待ちしております。
(サッカーオランダ代表が好きな人も是非!)
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