リレーコラムについて

答えられなかった質問

水本晋平

会社の補助もあり、
この秋から英会話のオンラインレッスンを
受けることになり。

まずはレベルチェックを、
ということで、
大阪に住んでいる坊主頭の
オーストラリア人 TOM(トム)と
30分ほど雑談する時間がありました。

気楽に答えてくれていいけど
グラマーは正しく答えてね。

という前提のもと、

「お前はどこに住んでいるんだ?」
「何の仕事をしているんだ?」

なんて質問から始まって
答えたことについて、
どんどん深掘りをされていく会話の流れになりました。

「広告を作るって、具体的に何をやるんだ?」
「お前はどこの部分を担当しているんだ?」
「企画をつくるって、どういう仕事だ?」
「どうやって、企画を思いつくんだ?」
などなど。

トムからすると
シンプルな疑問なのですが、
これがアドタイのインタビューだと思えば、
結構答え方がムズカシイ質問です。

学生時代に塾講師として
英語を教えていた経験もあって
受験英語レベルは大丈夫なのですが
いかんせんブランクもあるし
会話という競技は受験でやってないし。

企画とは…といろいろ深いところに
思考が潜ってしまうと、
自分の中での整理と
英語としてのアウトプットが追いつかず、
何も返事できずに終わってしまう…
という不安が一瞬よぎってしまいました。

その結果、何の返事もできないやつと
「レベル1」判定されたら、

この秋冬で40回にわたって
少なくない金額を払って、

先生「朝何時に起きました?」

水本「今日は9時に起きました」

という中学レベルの英語を
訓練することになってしまう…。

それだけは避けなければ!
という危機管理から、
とにかく答えやすい英語で答えよう、と方向転換し。

Q「どんなタイミングで企画してるの?」

A「常にです。寝ている時間も、考えています。」

Q「どうやって企画を思いつくの?」

A「見るものすべてから、発想しています」

Q「何から、ヒントを得ているの?」

A「映画からヒントを得ています。私は、毎週末映画館に通っています。」

と、気づいたら、
すっかり企画サイボーグのような
返事をしていました。

気付けば、TOMは、
大物クリエイターを見るような
尊敬の眼差しで僕を見つめています。

それもそのはず、
TOMにとってSHIMPEIは、

24時間あらゆるものから
インスパイアを受けて、
起きてる間も
寝てる間も企画し、
日本の大手メーカーの広告を
一手に引き受けるクリエイターですから。

なんだか申し訳ない気もしながら、
Q/Aに近い会話を続けていると、
TOMから新たなる質問が飛んできました。

TOM「Do you cut ~~~ ?」(すごい早口の英語)
cut …?
カット…?
編集の話を聞いてるのか?
待ってくれ、TOM。
俺はいろいろ企画はしているけど、
編集まではしてないんだ。
ディレクターとクリエイターの違いを
説明しないといけないのか?
それはなんだか、めんどくさいぞ。
いっそ、ディレクターもやってることにしてしまおうか。
企画から編集まで一手に引き受ける逸材ってことで…

とはいえ、ちゃんと質問を
聞き取れたわけじゃないから、
適当に答えずに、聞き直してみます。

水本「Pardon ?」

TOM「Ok, no problem .」

そういって、
TOMはゆっくりと英語を繰り返しました。

TOM「Do you cut your hair or have your hair cut?」

… have your hair cut
どこかで聞いたことがあるぞ。
かつて中学生に教えていた
使役動詞の have だ!
have 目的語 動詞の完了形で使って
ここでは、髪を切ってもらう = 散髪する だから

え、もしかして、TOMは今、

「あなたは自分で髪を切ってる? それとも、切ってもらってる?」

と聞いてる…?

そんな会話、地球上で初めて聞いたよ。
英語の教科書にも載ってなかった気がする。
そもそも切ってもらってるに決まってるし、
というか、偉大なクリエイター Shimpei に
いきなり何を聞いてるんだTOM。
インタビュアー失格だよ、と思いながらも、

「I have my hair cut in Ginza every month.」

と、答えました。

すると、TOMは、満面の笑みで、

「Great ! I cut my hair !」と、

自分の坊主頭を指さしています。

TOM、まさか、お前、それは自分のギャグなのか…?

2〜30分のzoomでの会話で
こんなガチガチの
英文法の理解を試されたのは、
この1問だけ。

向こうのカリキュラム的に、
使役動詞の理解の確認はマストなのか、
それとも、坊主頭のTOM の鉄板ギャグ質問なのか。

真相は、闇の中。

秋からの授業で、またTOMに出会えたら、
聞いてみようと思います。

NO
年月日
名前
5836 2024.12.26 小林大 極めるチカラ
5835 2024.12.25 小林大 泣かせるチカラ
5834 2024.12.24 小林大 う⚪︎ちのチカラ
5831 2024.12.23 小林大 コピーのチカラ
5827 2024.12.22 都築徹 包丁
  • 年  月から   年  月まで