犬の同好会に浮気相手がいるの

本屋へいくと「社長の哲学」とか、えらい人の考え方の本が売られていますが、いやいや、ふつうに悩んで頑張って、働いている人たちの哲学も、なかなかすごいです。今日は、私が取材で個人的に感じちゃった言葉たちを数点ご紹介します。

● 人見知りが激しいタイプなんですけど、接客業を選んだんです。
　 仕事だと、ふだんの自分にできないことができると思って(アパレル店員/23歳)

● いい仕事には、やっぱり休むことも大事。
　 休みなく働いて、最近それがよくわかってきました(IT/27歳)

● おまえと一緒にやってても楽しくねえよって、先輩に怒鳴られて。
　 それで、仕事を楽しむようになったんです。(商社の営業マン/29歳)

● 故郷に残してきた彼女に、店長になったらプロポーズしようと思うんです。
　一人前の稼ぎでいい。帰ったら子供がいて、奥さんも笑っていて、
　すごく欲がないかもしれないけど、
　それがぼくの目標なんです(らーめん店スタッフ/25歳)

●飛び込み営業って、世間が言うほどきつくないっすよ。
　ある時なんか「飛び込み営業で〜す」って水泳帽とゴーグルつけて、ドアあけた。
　これがね、アタると売れるんですわ(笑)。(商社/21歳)

● 女の子だから売れているのか。大西だから売れているのか。
　まだよくわからないんです。(バイクの販売員さん/22歳)

● 人はみな、背中に砂時計を背負って生きていると仮定する。その砂の量は生まれたときから決められているんだけど、背中にあるから、残りがどれだけあるかなんて自分にはわからない。だから落ちていく砂の一粒一粒を、どれだけ価値のあるものにできるか。今日一日過ごしてよかったと思えるか。なんにも考えなくても人間の命は刻々と削られていくわけです。削られているんじゃなくて、自分で削っているという意志で生きたい。自分の命ですからね。(情報通信機器を売る営業さん/27歳/この人は年収3000万円稼いでいます!)

● 工房は熱い。真夏には40度、貧血で倒れる奴とかもいます。
　それでもパンつくってるのは、
　やっぱ、好きだからなんでしょうね。(パン職人/32歳)

●どこへ行っても通用する力を身につけろ!
　なんて面接では言いますけど、言いますけど、
　本当は、みんなずっと会社にいてほしい。勝手ですかね?(人事/45歳)

●一発当ててベンツに乗るより、ベンツにふさわしい人間に
　成長することの方が大事だと思うんですよ。(玩具営業/29歳)

● 雨の日に外回りするのは、普通嫌ですよね。
　でも、雨の日には、たいてい家の中に人がいる。
　つまり営業のチャンスが広がるってことなんです。(住宅営業/29歳)

●最近、自分の手を見ると、お!ゴツくなってきたなあ、
　親父みてえだなあと誇らしい気分になるんですよ。
　彼女からは汚いとか言って、嫌がられますけどね(笑)。(自動車整備工)

●北朝鮮から爆弾が飛んできても、俺たちは仕事をしているだろう。(通信営業/29歳)

● 社内恋愛?ありますよ。「自由」民主党ですから。(政党スタッフ/30歳)

● 信頼を関係を深めていくうちになんでも話せる環境になる。
　僕自身は仕事というフィルターを外すことはないが、
　お客さんはもう営業としてみていない(笑)。
「犬の同好会に浮気相手がいるの」と奥さんに言われたときは、
　次の交渉から旦那さんに会うのが苦痛でした。(マンション営業/31歳)

● 会社は「新オフィスだ!」なんてえばってるけど、
　社員はけっこう前の雑居ビルが良かったって言ってる。
　ゴミゴミしていて、いつもみんな忙しくて。終わったら近くに居酒屋もいっぱいあったし。
　いまは新宿のどまん中だけど、居心地わるいです。(設計事務所/29歳)

いかがでしょうか?働く人たちのちいさなドラマの数々。
別に有名な会社にいるわけでもなく、えらいポジションにいるわけでもなく、
でもでも頑張って働く人たち。私は、彼ら・彼女らが大好きです。
(自分がむかし、働くことを、真っ向から否定していたヒモでしたから)
パワーのある言葉をもらうと、こっちも元気をもらえます。

あ、いま、会社の先輩が
「あたし、人間が寝なくて済む動物なら、ずっと働いてたい!」
とのたまいました。みなさん、パワーのあり余りすぎにもご用心です。

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