若者と煙草
岩崎亜矢
前にもちょっと触れたのですが、町田町子という名前でDJをやっています。
毎月第3土曜日、新宿の花園神社の一角にあるCLUB WIREで「BLUE STARS NIGHT」というイベントをやっていまして、このハコは大貫憲章さんがオーガナイズしているLONDON NIGHTというイベントを筆頭に、ロックなクラブとしてわりかし有名なところです(以上、宣伝終わり)。
やっぱりクラブという場所には煙草がつきもので、一晩中過ごすとこれはもう髪の毛やら服やらからだ中のすべてに,煙草の匂いが染み付いてはなれません。この染み付いた匂いがですね、ほんとにひどい匂いなんですよ。煙草から出るもともとの匂いに、憎悪やら嫉妬やら苦しみやらの「悪」を詰め込んでシェイクして、一晩寝かせた感じ。まったくうまく言いあらわせないけど、とにかくほんと最悪な匂い。
そしてまた、クラブという場所には若者がつきもので、私のやっているイベントにも、10歳ほど歳のはなれた若者たちがよくお客さんでやってきます。二十歳のころ(もしくはもうちょっと前のころ)、誰しも思いあたる節があると思います。かっこつけて、これみよがしにタバコをぷかーとやっていた経験が。
斜め左に首を動かしながら、あのぷはーとかぷかーとか煙を吐き出すときの若者のしぐさや表情を見ると、私は何とも言えない気分になります。というか正直、むかつくのです。「俺カッコいいでしょ」「私イケてるでしょ」そんな思いがあちこちへ飛び交い、びしばしとこちら側へ伝わってきては、かつての自分を思い出さざるをえないから。そして、とてつもなく残念な気持ちにならざるをえないから。
きっと人間とは、個人の差はあれど、生まれてから死ぬまで、みんなほぼ同じ作業を行っているのでしょう。無邪気に何かを覚え、恥ずかしい青春を謳歌し、自らをちょっとばかし反省し、死んでいく。しかし年代によっている場所も変わるので、さりとてそのことに気づかぬまま人生は結果オーライな感じに思えてくるのでしょう。
だけどクラブという場所は甲子園のように、受け入れる対象年齢は変わらないまま、どんどんとその時代の若者たちが入れ替わり立ち替わりしていくところ。だから、たまにトウのたった私のような存在には、あれこれと思いをめぐらしてしまう場所になるんだと思います。
あー
禁煙のクラブをつくりたい。
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