アイデアを通すためのアイデア (5)「総括」篇
最終回となってしまいました。
おつきあいいただいた方々ありがとうございました。
今回のコラムは昨年クリエーターオブザイヤーメダリストをいただいた時に
講演させていただいた内容です。
その時に質問がでました。
「今回の話は目から鱗でした。なぜ國武さんは手の内を見せてくださるんですか?
私はあなたの競合会社ですが、その方法を真似ても良いですか?」
「もちろんです。みんなで真似て面白いCMをバンバン世の中に出していきましょう・・・」
私がこの広告業界に足を踏み入れたのは31歳のとき。
それまではSEIKOという時計の会社に8年ほど勤めていました。
SEIKOと言えば大晦日の「行く年来る年」という番組で(1社提供、民放全局買い切り!)
年明けまでのカウントダウンを担当しつつ、不朽の名作CMを世に出していた会社です。
私は宣伝部でも販促広報担当でもありませんでした。
文系の大学を出て海外部の貿易実務を粛々とやっていました。
毎日毎日、時計の輸出入の書類をタイプ打ちするルーティーンワークの日々…
同期入社した宣伝部の女の子が羨ましくて羨ましくて。
「オレだったらこういう広告を作るよ、ちょっとCM企画を聞いてくれない?」
「例えば携帯会社・・・「例えば牛乳・・・「例えばクルマ・・・
と無理やり誘っては彼女に向かってひとりプレゼンをしていました。
(ハッキリ言ってウザイ男です)
彼女は嫌な顔ひとつせず聞いてくれました。
「國武くんって変わってるよね!」
「・・・」
何やってんだオレ、その後コピーライター講座に通いはじめました。
幼い頃から無類のCM好きでアニメ番組なんかを見るより
その間に流れるCMが楽しみでした。
31歳まで趣味(マニア)として封印していました。
今、1から10までCMを作る人間になっている不思議。
こんな好きなことをしてお給料までいただけて・・・。
毎日流れるCMは面白いものであって欲しい。
つまらないCMを見るのは何よりも辛い。
手の内を書かせていただいたのはそのような理由からです。
「つまらないものですが・・・」よく日本人は物を贈るときこのような言い方をします。
謙譲の美徳、奥ゆかしさを大切にする日本の伝統です。
なのに「広告」になるとデリカシーを失ってしまい
「おいしい、業界?1、美しい、素敵、お客様のために・・・」と
露骨な自画自賛、身勝手な美辞麗句、恩着せメッセージの連呼です。
広告だからと消費者は大目に見てくれるのでしょうか。(NO!)
広告は視聴者へのラブレターとよく喩えられます。
長々と要領を得ない文章を最後まで読む気になれますか?
自分のことを良く言う人に好感が持てますか、そんな人を信じられますか?
なぜ広告になった途端分からなくなるのですか?・・・
すいません、つい熱くなってしまいました。(良く熱いオッサンと言われます)
もうエンドレスになってしまいますのでこのへんで終わりにします。
私事で恐縮ですが、本日電通九州を退社いたします。
九州最後の1週間、コラムを担当させていただきありがとうございました。
最後に良い思い出となりました。板東さんご指名いただき感謝です。
12月から東京の外資系の代理店に赴きます。
これからも熱いオッサンの挑戦は続きます。
来週のコラムは電通きっての若手ホープ倉成英俊さんです。
とあるプランナー講座で机を並べた仲です。その頃からとっても優秀な方でした。
私と違ってスマートなコラムを書いてくださると思います、
倉成さんよろしくお願いします。
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