妄想について 2
母猫は子猫を食べることがある。
もっぱら人間の匂いがついた子猫を食べるのだという。
母ウサギも母ネズミも同じことをする。
「取られるくらいなら食べてしまおう」と解釈するのは
人間の妄想だろうか。
人間の匂いに限らず敵の気配を感じたときも食べると聞く。
猫にとってはカラスだって敵だ。
カラスはまず嘴で子猫の目を潰してから食べる。
「子供をそんな目に遭わせるよりは自分が」
これも人間の妄想的な解釈だろうか。
「取られるよりは自分が」という妄想の根本は執着だ。
誰の手にも渡したくないほど執着を誰かに持っていたときに
奪われるのが嫌で殺すのはとてもよく理解できる。
しかし、猫にはもっと猫的な理由がありそうな気もする。
敵の匂いがついたものは敵のまわしものだと思っ&殺す、
殺したらもうそれはタンパク源だ。食べたっていいじゃない。
身に危険が迫ったときに、子供を産んで弱っていることが
バレないように食べてしまう、などなどの理由だ。
ところで、人間が人間を殺すのみならず食べるケースも当然ある。
十字軍がイスラム教徒を食っちまったのは飢餓が原因だが
(ろくに食料も持たないで気合いだけで戦争に行くなってば)
キリスト教の狂信的な信者が聖人の肉を食ったのは妄想だ。
どうせ聖人と一体化しようと高望みをしたに違いない。
しかし、これは、パンを自分の肉だと言い、
ワインを自分の血だと言って弟子たちに与えたキリストがいけないね。
そもそもあんたがカニバリズムの妄想を与えたんじゃないの。
カニバリズムの基本は共食いだが
動物学ではそ以外にも使われることがある。
家畜が弱った仲間を集団で襲って殺すケースも
「カニバリズム」と呼ばれている。
狭いところで豚や鶏を飼うとよく起こるそうだ。
人間も過密になってきているようだが、大丈夫なのか。
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