社会を動かすスローガン
白土謙二
この10年間に見てきた、さまざまなスローガンのなかで、
私にとって、もっとも気になったものが、
MAKE POVERTY HISTORY
貧困を歴史に
というものでした。
今年は7月に、洞爺湖でG8サミットが開かれますが、
サミットは最早、世界の首脳が集まるだけでなく、
さまざま市民を代表するNGOも世界中から集まって、
自分たちでまとめた「世界をより良くするための政策提言」を、
その首脳たちに手渡し、実現をめざす機会にもなっています。
冒頭のスローガンは、2005年に開かれた
英国、グレンイーグルスでのサミットの際に、
アフリカの貧困撲滅を世界に訴えて行動を促すために作られたものです。
(日本ではホワイトバンドで、ご存知の方も多いかもしれません)
作者は、コピーライターではなく、
ミスター・ビーンなどのシナリオをかいている人気脚本家・映画監督である
Richard Curtis という人です。
彼は、多くNGOが集まって、首脳たちへの政策提言をまとめるための
侃々諤々のディスカッションに、ずっと立会い、
その飛び交う言葉を丹念にメモするなかから、
このスローガンを作り出しそうです。
たった、三つ単語で、世界の重要テーマときちんと向かい合える
こんなフレーズを書くことができる。
その社会的な意識の高さと、知的なセンスに感心しました。
私もいつか、彼を手本に、世界に向けたスローガンを作りたいと思っています。
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