朝青龍について
テレビを見ながら、
朝青龍を応援しています。
いま世論では散々な扱いですが、
朝青龍に対する僕の印象は
5年前、CMの撮影現場で抱いた印象のまま
何も変わっていないからです。
理由といえば、それだけです。
ワイドショーには興味がありません。
史上最速で横綱昇進を果たした当時、
朝青龍がCM初出演となる広告キャンペーンの
撮影に立ち会うことができました。
撮影現場というものは、
演出、カメラ、照明、美術、音声はじめ、
さまざまな職人の技術が一体になって成立します。
わずかなことでも全体が崩れてしまう
プロフェッショナルの領域です。
朝青龍は、そうした現場への敬意が
とても強いように見えたのです。
朝青龍自身がプロとして、
土俵という神聖な場所を
よく知っているからだと思いました。
当日の撮影現場も土俵の上ではあったわけですが。
その日の見ごたえある撮影について
とやかく触れることはしませんが、
朝青龍は、真摯で気さくな一流アスリートでした。
印象というのは、そういうことです。
5年たっても同じです。
朝青龍は取組のとき、
時間一杯になると
中腰のまま体を反転させながら、
高々と掲げた左手を力強く振り降ろし、
まわしをバーンと叩きます。
あの動作がたまらなく好きです。
朝青龍で好きとか嫌いとか言っても、
ワイドショー的な感情の話ではありません。
タイガー・ウッズのプレーは、
ショットに至るまでの動作もすべて見入ってしまうとか。
昨年神宮球場で見たグライシンガーの、
マウンド上での両足のステップ動作には惹きつけられるものがあったとか。
そういう、純粋に、優れたアスリートの動作への興味です。
取組に至るルーティンまでつい見入ってしまう関取は、
子どものときに大ファンだった千代の富士以来です。
そういうわけなので、
どうかお願いだから、土俵の外の人間が、
横綱として気に入らないからという理由で
朝青龍を土俵から引きずり下ろすようなことを
好き勝手にしないでほしいと思っています。
誰にお願いすればいいのか分かりませんが。
もっと朝青龍の相撲を見ていたい人間もいるので。
しかしあれだけマスコミから攻撃されて、
よくパフォーマンスを維持できているなとむしろ驚きます。
朝青龍は、千代の富士のように
歴史的な能力を持つアスリートだと思うので、
今のうちに目に焼きつけておかないともったいない。
ナイキが朝青龍でCMをつくってくれないかなあ。
体を反転させながらまわしを叩くところに、JUST DO IT.
だけでもいいんですが。
いや、歴史的なスローガンを勝手に使ってすみません。
他人のふんどしで相撲を取るとはこのことか。
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