リレーコラムについて

きのこブーム!

小野仁士

昔から熱しやすく冷めやすいところがあるのですが、
そのときは、きのこでした。

確かサブカル系の雑誌で見つけた
「きのこ栽培マニュアル売ります」の文字。
本能が「買え」と言うので
さっそく注文しました。

マニュアルは届いてないけど、
それから気持ちは、きのこモードです。
頭の中は、きのこでいっぱいです。

数日後、やっとマニュアルが届きました。
栽培に必要なものがいろいろ書いてあります。
菌を培養するスライドガラス、シャーレ、
あと何に必要だったか忘れましたがブラックライト。
それから培養した菌を移植して本栽培するワンカップ大関の空き瓶。
それらを煮沸消毒する大きめの鍋、その他いろいろ。

このときはプータロー時代だったので、速攻で買い出しです。
収穫したらオムレツにしようか、スープにしようか、
とりあえず乾燥させようか、などと妄想は止まりません。
シャーレ、ブラックライト等は渋谷の東急ハンズでゲット。
お酒はほとんど飲めないのですが、コンビニでワンカップをゲット。
もったいないから、ひとくちだけ飲みました。
消毒用の鍋は「できれば圧力鍋で」とマニュアルに書いてある。
買いました、大きなティファールの圧力鍋。

そしていよいよ栽培開始なのですが、
きのこはとってもデリケート。
シャーレ上のきのこ胞子が部屋の空気に触れると
あっというまにカビが発生して失敗します。
ふだんの部屋はそれだけ雑菌が飛び交ってます。

そこで簡易滅菌室づくりです。
洋服整理用の透明プラスチックボックスに
腕が通るだけの穴を2つ開けて、そこに台所用のゴム手袋を接着。
手袋に両腕を通して、外気に触れることなくボックスの中で
いろいろ作業できるという、テレビで研究室や検査機関などが
映ったときにときどき出てくるアレです。
(いま調べたら「グローブボックス」と呼ぶらしい)

それから、試行錯誤、紆余曲折、いろいろありまして
最終的にはうまくいったのですが、
一度うまくいくと、なんとなくテンションは下降。
頭の中が、きのこに占領されていた数日前が幻のようです。
その後、きのこにハマることもなく、熱は冷めてしまいました。
(乾燥不十分な生きのこをムシャムシャ食べて、
生臭さがトラウマになったという話もあります。)

シャーレ、ブラックライトはもちろん、
結構な値段のしたティファールの圧力鍋は、
きのこ栽培以外で使われることはありませんでした。
今でも、台所の片隅で結構なスペースを占領して眠ってます。

こんにちは。
博報堂 土井隆史さんからのバトンを受け取りました
アサツー ディ・ケイ 小野仁士です。
(土井さんには、東京で最初の会社のときから始まって、
次の会社、フリーのときと、ずっとお世話になっていました。
そのうえTCCも同期ということで、何かとご縁のある関係です。)

一週間おつきあいのほど、よろしくお願いします。

ご感想ご意見など無期限でお待ちしています。
ono.tcc.column@gmail.com

※以上の話は1990年代の話です。
現在、ある種のキノコは栽培したり、食べたり、買ったりなどすると
法律で罰せられますので、くれぐれもご注意ください。

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