心の師〜ウキワのお二人〜
更新遅れていてすみません。
一昨日の夜、実は1時間以上もかけて書いた、送信をおしたはずなのに全て消えてしまって。あまりのショックでしばらくやる気を失ってしまいました。(その分、土曜日も書くので許してください。)もう一度、書いてみます。
自分が仕事をご一緒して、勉強になった人を紹介するシリーズ、第2弾。
今回は、「ウキワ」のお二人です。
ウキワとは、ご本人たちは、もう呼んでほしくないかもしれませんが、電通のCDCのアートディレクター正親さん(おおぎさん)と3CD局のCMプランナー篠原さんによる社内ユニットの名前です。
最近では、所属する局が違うので、お二人で仕事されることが少なくなってしまい、この名前も使われなくなっているのかもしれませんが。
私が広告を考えるベースの95%は、このお二人から学んだことです。このお二人と出会っていなければ、今の自分はないといっても過言ではないし、精神を病んでいた可能性すらあります。
会社に入って3〜4年、ものすごくツライ時期がありました。今になって思えば、チラシなどをつくることで広告の基礎の部分を身につけれ大事な時間であったことは分かりますが、とにかくツラかったのです。何がツライかといえば、クリエーティブに配属される前には、面白いことを考える仕事だと思っていたことが、研修ではそんな感じだったはずなのに、現場にいったら、どうも違う。もちろん地道な作業の上でしか勉強できないことや、その重要性は理解しつつも、何か根本的に期待していたものと違うという空気を感じていました。
それは、誤解を恐れずにいえば、当時の所属する局の中に、楽しそうに仕事をしている人がいなかった。そういう空気がなかったような気がします。その頃、タグボートの多田さんが銀座電通でトークショーをしている姿を見て、「これ、本当に同じ仕事なの?」と衝撃をうけたことをよく覚えています。
そんな空気が変わりだしたのは、外部のアートディレクターの方が転職してやってきたことでした。小松洋一さん、今永政雄さん、そして正親さん。たった3人の方が来たことで、その後の局の雰囲気が変わったというか、少なくとも若い年次の人たちに対する影響力はかなり大きかったと思います。
そんな正親さんと、篠原さんがユニットを組んで仕事をはじめたときに、運よく声をかけていただき、いろんなことを教わりました。当時の私は、仕事がまるで宿題のような感覚で、いやいや打ち合わせに参加する、といったスタンスになっていたのですが、この二人と仕事をしたことで、「ああ、面白いことを考えていいんだ」とはじめて思わせてもらえました。
一緒に仕事をする中で、正親さんから影響を受け、勉強になった一番のことは、「大きな意味でのアイデア」という部分です。それまで、CMやコピーを考えるなら、セリフのこのギャグが面白いとか、そういったことを考えていたのですが、正親さんのアイデアは、もっと俯瞰というか、もっとフラットな視点で作られていて、ディテールまで聞かなくても、面白い。CMからPOPまで、一気にイメージが膨らむような大きさがありました。
ケミストリーのアルバムのジャケットデザインの仕事をご一緒したときのこと。
ジャケットのデザインなんて、それまでセンスでやるものだと思っていたので、コピーライターが入って何ができるのか、正直何をすればいいかさえ、分かりませんでした。そのとき、正親さんが、人の気持ちを暖かくするバラードアルバムというコンセプトから、「Hot Chemistry」(スペルあってます?)という言葉を持ってきました。このアルバムは、冬を暖かくするものだ。という規定をしたんですね。すると、じゃあ、ジャケットは、毛糸で、ポスターも毛糸でつくって、CMはすごい白い息を吐く二人、グッズで手袋をつくって、といった感じですべてのアイテムが一気に出来上がったことがあります。
それを目の当たりにして、「ああそうか!」と目からウロコとは、まさにあのことだったと思います。
それ以来、私はCMやコピーを考えるときも、まず、コピーライターである前に、一人のアイデアマンとして、モノを考えるようになりました。
それとは別に、篠原さんから学んだこと。それは、「出口発想」という考え方です。
とはいえ、広告は、コンセプトから積み上げて作りますが、CMに限ったことでいえば、単純に面白いもののほうが、強い!ということがあります。私が大好きな関西の中治さんや山崎さんがつくるCMや、タグボートの多田さんがつくるCMなど、ホットペッパーとか、写るんですとか、別にそれをCMでやる理由なんてないけど、面白かったり、逆に理屈から出来上がったものより、はるかに強いパワーをもっていたりする。
それを、篠原さんはCMプランナーとして、本能的に知っていて、企画をしていきます。フロム・エーの100円マラソンという企画のときに、下につけていただいたのですが、あのCM自体、世の中に受け入れられたとかは別として、コンテをつくっているときには、本当に「バカだな、、この人」(すごいいい意味で)と大笑いしてしまうというか、これがCMになったらどんなことになるんだろう?というワクワク感を感じたのは、あとにもさきにもなかった。そのぐらい私は、衝撃を受けました。
いま、一人で企画をするときにも、正親さんから学んだ「大きな意味でのアイデア」。そして、篠原さんから学んだ「出口発想」、このふたつを常に意識しながら、企画をしています。
本当は、もっと上手くかけていたのですが、なんか2回目だとうまくかけないですね。悔しいけど、もういいです。次は、シンガタの黒須さんについて書いてみようと思います。
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