リレーコラムについて

Down and dirty

橋口幸生

昨日のコラムにも書いたことですが、どうも最近、
一般的な良識から少しでもハズれたものを
徹底的に叩く風潮が、強くなっていると思います。

これを、作家の宮崎学さんは、
「白いファシズム」
という言葉で説明していました。
たしかにKYなんて流行語は、
極端に解釈すれば全体主義ですよね。

僕ら広告クリエーターが、
こうした時代性をいちばん実感するのが、
「クレーム問題」じゃないでしょうか。

一応説明しますと、広告を見た方から、
「これは良くないんじゃない?」という指摘をいただき、
一部を修正したり、出稿そのものを中止したりするケースが
最近、増えているのです。

たしかに、映画や本と違い、広告は
頼んでもいないのに見させられるものなので
ある意味、暴力的な部分があります。
他の表現以上に、見た人を不快にしないよう、
注意しなくちゃいけないのは当然です。

しかし、「それ、考えすぎなのでは・・・」
ってケースも、多いように思うんです。
ネガティブチェックって、
やろうと思えばいくらでもやれますからね。

ここでやや唐突、かつ強引に話を変えますが、
何年か前に「ジャッカス」というテレビ番組が流行りました。
いい年こいた大人が全身の毛を剃ったり、
お尻にミニカーを入れてレントゲンで撮ったりする、
ひたすらバカで下品なだけの内容ですが、なぜか異ッ常におもしろい。
(僕個人がバカで下品だからおもしろく感じるのではないのは、
世界中で大ヒットして映画にまでなったことからも、
わかっていただけるかと思います)

同じようなノリの作品としては「サウスパーク」や「チームアメリカ」、
去年日本でも公開された「ボラット」などがありますが、
こうした作品が教えてくれるのは、

人間はバカで下品なことをおもしろく感じる生き物である、

ということです。
もっと極端に言えば、「おもしろい」というのは、
本質的に反社会的な感情なんだと思います。

幼稚な考え方かもしれないですが、
クライアントのメッセージを消費者に届けるには、
オンエア量や段数を増やすより、
広告そのものをおもしろくすることが一番の方法だと、
僕はコピーライターとして信じています。

もちろん、人を傷つけるようなものは
絶対つくりたくないですが、
過剰な自主規制で表現の幅を狭めないよう、
がんばっていきたいと思います。

・・・なので、僕がちょっぴりヤンチャな広告を
つくってしまった時は、どうかみなさま、
あたたかい目で見守ってやってくださいませ。

昨日と同じオチですいません。

NO
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