「車検の日に」
波多野順
こんにちは。波多野です。
人生に苦手意識を持って生きていると、
ああ、この人も、人生のいろいろなことが苦手なんだろうな、と
勝手に他人様のことを観察してしまうことがあります。
ボクは先日、車検に行ってきました。そこは街の修理工場ではなく、
大手自動車会社のディーラーです。対応も親切で、お店もきれい。
いつ行ってもお客さんがたくさん来ています。
このご時勢に、さすがだなと感じていました。
しかし、ボクの担当の山本さん(仮名)は、どこかおっとりした方で、
バリバリの営業マンというタイプではありませんでした。
3年前、ボクは山本さんからクルマを買いました。ものすごく親切で感じがいいのですが、クルマを売ろうという意思がまったく感じられないところに惹かれて、そのディーラーでの購入に至りました。
そして、今回の車検です。
なんだかクルマがグラグラと横揺れする感じが気になっていたので、クルマを車検に出すついでに、ボクは山本さんに、
「なんかグラグラする感じがあるので、ちょっと乗ってみてもらえますか?」とお願いしました。山本さんは、「わかりました。ちょっと乗ってみましょうね。」と、笑顔でボクのクルマに乗り込み、道路に出て行きました。
しばらくして、ボクのクルマが駐車場に戻ってきました。
笑顔で降りてくる山本さんにボクは、「クルマどうでした?」と尋ねました。
すると山本さんは「ええ、ボクが乗ってるアリオンより、プリウスのほうがフロントガラスが前にせり出してて、なんか気持ちがいいですね。」とおっしゃいました。ほんとうに気持ちよさそうでした。
おそらく現世では、山本さんはセールスが苦手な人なんだろうと思います。
でもボクは生まれ変わっても、山本さんからクルマを買いたいです。
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