リレーコラムについて

246に舞ったカラアゲ

野澤幸司

たった2回書いただけでもうネタ切れな感じです。
「なんて引き出しの少ない男なのだ!」と
自分を責めながら、今日は無難に会社の話をします。

僕はいまパラドックス・クリエイティブという
制作会社にいるのですが、
もう、入社してかれこれ5年以上になります。

今でこそ50名近いメンバーが所属しているのですが、
僕が入ったときは、社長も含めて
まだ5名ほどしかいませんでした。

人数が少ないと、どうしても家族的で
密接なつきあいになってきます。
そして創業当初はどこか体育会系的な
ノリが漂っていたため、
新入りがいろいろと汗をかくわけです。
(僕はこの時代をゾウキン時代と呼んでいます)

もっとも印象に残っているのは
「大丸ピーコック事件」です。
うちの会社は国道246号線沿いにあるのですが、
通りを渡ってちょっと行くと、大丸ピーコックがあります。

蒸し暑かったその日は、昼飯を全員ぶん買ってくる
というミッションが僕に与えられました。
ただ、みんなちゃんとオーダーしてくれないのです。

ふつうだったら
中華系とかさっぱり系とか言うじゃないですか。
ところが、みんなの注文をとりまとめた紙には

「誘惑」
「初恋のような」
「男まさり」

といったエキセントリックなワードが書かれていたのです。

しかも「今から10分以内で!」という
悪魔のようなメッセージまで添えてあるじゃないか!

僕は定価1万円を下回るマウンテンバイクにまたがり、
246を爆走しました。

「誘惑」「初恋」「男まさり」・・・
「誘惑」「初恋」「男まさり」・・・

そうつぶやきながら大丸ピーコックに入る僕。

「男まさり」って
こってり系か?いや、安直すぎだろ。
ソバみたいなしぶいやつを
男らしさと言っているんじゃないか?
いや、ちょっと裏を読み過ぎか?
若手にありがちなムダな深読みか?
だからコピーがスベり気味って言われるのか?
うーん、男まさりっていったい何だろう!

そんなこんなで、悩みながらも
とりあえず全員ぶん購入完了です。

そして、「さあ帰ろう」と時計を見ると
なんともう8分も経過している!
ああ、アモーレの鐘がなっちゃう!

メンバーの顔を思い出しては
「徹夜好きの悪魔たちめ!」と心の中で毒づき、
ケンタッキーの前にある
横断歩道を渡ろうとしたそのときです。

定価1万円を下回るマウンテンバイクが
弁当の重さで左に傾き、246のど真ん中に
唐揚げをぶちまけてしまったのです。

ブルックスブラザーズの前を歩く
OLたちの冷たい目線を浴びながら
「唐揚げをぶちまけるために転職したんじゃない!」と、
小さな、とても小さな声でつぶやいたのを覚えています。

その唐揚げ弁当は
けっきょく自分のぶんとしていただきました。
悔しかったけれど、「なんとか時間を守れた」という
充実感によってとてもおいしくいただきました。

この「大丸ピーコック事件」以外にも、

「涙のドンペリ謝罪 事件」
「40分のトイレ立てこもり 事件」
「送ってはいけない不採用通知 事件」

など、さまざまな事件がありました。
詳細を知りたい方は

nozawa@prdx.co.jp

までお問い合わせください。

いまではもう、さすがにそんなドタバタは起きません。
会社も大きくなってしっかりしてきたので、
そういう思いをする若手メンバーも少ないと思います。

でも、そんなゾウキン時代の記憶が、
サボろうとする自分のお尻を
いまでもバッシバシ叩いてくれるんです。

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NO
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