リレーコラムについて

三つ子のたましいパパまで

熊谷卓彦

神戸のお魚トイレですが、
電通関西の張間さんが知っていらはりました。
お店はバーで、客席にはペンギンがいるそうです。
客席は、やはり食べる側の席なのですね。

トイレの話に続いてではありますが、
私の妻は三つ子です。
女、女、男、の三つ子ですので、
軍艦で例えれば、大和、武蔵、信濃、かと。
信濃は空母なので男女が逆でしょうか(この三隻、同型艦なのです)。

大和が私の妻です。
大和と武蔵はそっくりですが、
さすがに私は初対面でも区別がつきました。
子供のころは親も間違うことがあったそうなので、
人生が顔を作っていくということなのでしょう。

もともとは双子だったそうです。
二人目が生まれたのにまだ一人残っていたので三つ子になりました。
超音波検査がなかった時代、
二人生んでもまだお腹がふくらんでいることでようやく知られた命。
突然、新しい命が目の前に現れた瞬間です。
お母さんはもちろん、お医者さん、看護婦さんが感じた感情は、
人間が、誕生の瞬間に感じ得る最も純なものだったのではないかと。
言葉であらわすと、
「え”え”ーー!、もう一人?!」
となってしまうのでしょうが。

私は三つ子を他に知りません。
三つ子だ! おもしろい! と思って結婚しました。
自分と同じ人(妹)と違う人(弟)と
生まれた時から顔をつきあわせて生きてきた人は
他人に対して寛大であるに違いない、と。

でも、妻に聞いたら、双子のアイデンティティとは、
家族以外の他者によって形成されるのだそうです。
似てるねーって言われたり、
鬼ごっこで入れ替わってもばれなかったり。
知らない後輩に挨拶されたり、
社会に出て初めて二人が似ていることを知らされる。

二人だけであれば、
自分の顔は見えないから自分と妹が似てるって思わないし、
話す声と聞こえる声は違って聞こえるから違う声に聞こえるし、
ただの姉妹と変わらないそうで、
だからドッペルゲンガーとかわけわかんないこと書かないでね、と。

妹と自分が似ていると実感したのは高校生になってからで、
カラオケにて。
マイクを通した声がまったく同じで、
どちらが歌っているのかわからなかったことがきっかけでした。

肝心の、双子と三つ子の違いは、
目立つかどうかの違いじゃないの? だそうです。

とはいえ、義父から聞いた言葉は
三つ子のお父さんならではの深みがありました。
男同士で酔っぱらっていた時の言葉です。

僕は、子供にあることをしてあげられなかったんだよ。
同じ年の子が三人だったから。

あることというのを聞いて
うろことなみだがぼろぼろでそうになりましたが
うろこでとどめておきました。
それを聞けただけでも、結婚してよかったな、と思いました。

それが何かということは、どうぞ皆さんの思いのままに。

それでは、また明日。
もし、三つ子の方がお読みでしたらご連絡いただけますと嬉しいです。
kumatakahiko@gmail.com

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