アダルトカンヌ
今年の夏。
カンヌ・ヤングライオン・コンペティション(通称ヤングカンヌ)のフィルム部門に、日本代表として出場した。現地でお題を与えられ、48時間以内に企画・撮影・編集をしてフィルムを提出。各国の予選を勝ち抜いた27カ国の代表と競い合った。いつもと違う条件はたくさんあるが、「アイデアを考える」という意味では、普段やっている仕事と同じだ。だからこそ、一番になりたかった。
結果は、敗北。
帰国した日。
家に帰ると、ふと台所の卓上カレンダーに目がとまった。
「なまけると こころが むなしい
一所懸命に なると自分 の非力が よくわかる」
「相田みつを」の詩が書かれていた。
ずっとそこにあったはずなのに、初めて見た気がした。
失敗したことと、なまけなかったことが、今回の収穫だ。
今、25歳。
28歳以下が対象のこのコンペには、あと3回挑戦できる。
「カンヌなんて」
そう言って笑う人がつくっている広告は、たいてい、人の心に向かおうとしていない。
悲しい都合に追われても、妥協したり諦めたりしない。
悩んで苦しんで闘って。
人の心を動かすために、日々、アイデアを考え続ける。
それが、広告をつくる人間の使命だと教わってきた。
今の僕があるのは、小田桐さんのおかげ。
本当に幸せな環境にいさせてもらっている。
入社して1年が過ぎたころ、松尾さんからメールをいただいた。
「いいものをつくるためには、まず、素晴らしい人間になることです」
人間力に乏しい僕には、重い一行だった。
広告という仕事は、僕自身を育て、幸せにしてくれる。
10年後も、幸せな顔で広告をつくっていたい。
僕の人生には、この仕事が必要だ。
11月13日(木) 27:52