リレーコラムについて

石川泰之の話

左俊幸

はじめまして。電通九州の左です。

僕は非常に顔が濃いせいか、怖い人だと思われがちです。
が、それは見掛け倒しもいいとこで、実際はかなりの小心者であります。
ガリガリくんの「あたり」の棒を、
そのガリガリくんを買ったお店じゃないと引き換えることが出来ない。
それほどの小心者なのであります。

今日はそんなへタレな僕が尊敬する高校時代の友人、イシカワの話をしようと思います。

イシカワはよくいえば度胸があり、悪く言えば向こう見ずで、
大きなことは言うけれど基本的には気が小さい僕は、いつもあきれたり、尊敬したり、
そそのかしたり、そそのかしたり、そそのかしたりしてました。
人をそそのかす。これは広告の基本だと思います。ってうるさいよ俺。

その事件は、僕たちが大学を卒業する間際の春に起きました。

大学に行き、離れ離れになっていた高校時代の友人5人で久々に集まって遊んだ次の日。
みんながそれぞれ今住む街に帰らなければいけないという、ちょっと感傷的なシーン。
前回のコラムで登場したマツエダが電車に乗っており、
それを僕とイシカワが駅のホームで見送るというシチュエーション。

マツエダは満員電車のガラスの向こうで、少し寂しそうな笑顔を浮かべていました。
その、なんというか、照れくさいシチュエーションに耐え切れなくなった僕は、
イシカワにこう囁きました。

「イシカワ、チンコ出せ。いまチンコ出したらお前めちゃくちゃおいしいぞ。」

しかしその時期はちょうど帰省ラッシュで、周りにめちゃくちゃ人がいる状況であり、
さすがのイシカワも僕の提案を冷たく一蹴しました。

「無理に決まっとろうが。」

しかしまだ電車は発車しません。
この照れくさいシチュエーションを何とかしたい僕は、とにかく必死でした。

「イシカワもおもしろくなくなったのう。」

「おもしろくない」

僕の高校時代の友人たちは、
基本的にみんなバカでエロで、そのくせ中途半端でどうしようもないのですが、
でも、「おもしろいこと」に関してのみは、みんな貪欲かつ真剣です。
その貪欲さは非常に激しいもので、
あるときなど、
寝ている友人(明日のコラムに登場予定のサネモリ)の尻の穴にケータイを入れ、
そのケータイを鳴らし、震わせたこともあります。
ケータイも激しく震えていましたが、
僕らもみんな笑いを堪えて激しく震えてました。ってなんだそのレトリック超寒い。
もしも「ケータイのバイブ機能」に人格があったなら、
「こっち系に使われたの、ボク初めてですよ!!」などと非常に驚いていたことでしょう。

話が逸れました。つまり、「おもしろくない」という言葉は、
僕らの仲間内の間では、とてもとても恐ろしい言葉なのであります。

「おもしろくない」

僕にそう言われたイシカワは、だから次の瞬間、惜しげもなくチンコを出しました。
帰省ラッシュで人、人、人が溢れかえっている駅のホームで。

僕は爆笑しました。気がつくと泣きながら爆笑してました。
そして電車の中にいる、同じく爆笑しているであろうマツエダの方を見ました。
しかし一瞬笑いかけたマツエダの顔は、ある瞬間からなぜか凍りつきました。
あれ?なんで??めちゃくちゃおもしろいのに・・・・・。
そして電車の中にいる他人の顔も凍りついており、
その凍りついた顔、顔、顔を引き連れて、電車は出発したのでした。

しかし話はそれで終わりません。
その後のマツエダからの電話は、僕の想像を超えた恐ろしいものだったのです。

「あのな左、確かに一瞬は笑いそうになったよ。
でもな、よく見ると、先っちょから少しションベンが出とって、
それで笑えなくなった・・・・・。」

後日談としていい話をひとつ付け加えると、
その後また新幹線のホームで同じようなシチュエーションがあり、
僕はまた同じようにそそのかし、イシカワはまた同じようにチンコを出しました。
でも、そのときは、
すぐそばにいた、別れを惜しんで泣きそうになっていた遠恋中らしきカップルに、
ささやかな笑いを提供することができたのでした。

と、いうか、そもそも駅のホームで2回もそんなことをして、
捕まったりしなかったことこそが、
本当の意味でのいい話、というかラッキーな話なのかもしれません・・・・・。

もう僕らもみんな33歳ですし、それぞれ家族もある身ですし、
今後は自重していきたいと思っております。

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