職業病、の話。

前回と前々回のコラムを更新してから、
たくさんの方よりご意見やご連絡を頂きました。
ありがとうございます。

基本的には、肯定的な意見が多かったのですが、
ひとつだけ社内にいる某プロデューサーから
気になるご指摘をいただきました。

「点(、)が多いよー。読みづらい。」

コピーライターに向かって、ダメだしかよ!(怒)
と一瞬、思ったわけですが、
いやいや、待てよ。
こういう普通の読者からの意見が
いちばん大切なのではないだろうか。
そう思って、あらためて
自分の文章を読み返してみたわけです。

すると、たしかに、多い。
点が、多い。

でも、これって、俺だけ?

もしかすると、
コピーライターの職業病なんじゃないか?
と思ったわけです。

だって、よく考えてみたら、短めのキャッチコピーでも、
だいたい読点がひとつくらいは入っているものだし、
特に、名作コピーを振り返ってみると、
読点が効果的に使われていることが多い気がします。

「そうだ　京都、いこう。」
「不思議、大好き。」
「きれいなおねえさんは、好きですか。」
「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。」
「つまんない広告をする企業は、ほぼ、つまんない。」
「このままじゃ、私、可愛いだけだ。」

ほらね?

そこで、ちょっと気になったので、
過去のリレーコラムを振り返って、
ランダムに何人かのコピーライターをピックアップし、
読点(、)の数を数えてみました。
(まぁ、自分が数えたというより、
　Microsoft Word 2002が数えてくれました。)

そして、同様に、一般のコラムやブログなども
ランダムに選んで比較してみました。

結果は、次の通りです。

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文章の中に、読点(、)が出現する率
略して、【読点率】

計算式は、次の通りです。
(読点の数)÷(すべての文字の数)=(読点率)

コピーライターの場合:
自分(北田有一) 120÷2669 =0.045
コピーライターA 157÷4615 =0.034
コピーライターB　135÷3250 =0.042
コピーライターC　33÷1241 =0.027
コピーライターD　295÷5370 =0.055
コピーライターE　257÷6738 =0.038
コピーライターF　83÷3401 =0.024
コピーライターG　153÷4266 =0.036
コピーライターH　143÷2009 =0.071
先週の和久田くん　513÷11783=0.044

それ以外の場合:
asahi.com スポーツコラム 33÷1468 =0.022
yomiuri online オピニオン 52÷2123　 =0.024
wikipedia「地球温暖化」　 367÷14972 =0.025
中川翔子ブログ　　　　　　 7÷2242　　=0.003
品川庄司の品川ブログ　　　32÷2093　 =0.015
眞鍋かをりブログ　　　　 15÷2006 = 0.007
財務省広報誌　　　　　　　 97÷4057 =0.023
友人Aのミクシィ　　　　　 67÷2946 =0.022
友人Bのミクシィ 59÷2044 =0.029
友人Cのミクシィ　　　　　 31÷1201　　=0.025

※小数点4桁以下は、すべて四捨五入。

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やっぱり!
全体的な傾向として、コピーライターは読点(、)が多いですね。

通常の文章の読点率(読点が出現する率)は、
平均値が0.020なのに対して、
コピーライターの読点率は、ほとんどの人が0.035以上、
平均値で0.042という異常事態でした。

2倍近いわけですね。
本当に、職業病と言えるのかもしれません。
(あ、もちろん、ランダムに抽出した20サンプルだけなので、
　学会や2ちゃんねるでは発表しないでくださいね。)

でも本来、読点は、
文章を読みやすくするためのものですよね。
つまり、読点は、コピーライターから読者への
「やさしさ」なのです。

ということは、
ある意味、読点が多いコピーライターほど、
「やさしいコピーライター」ということなのかもしれませんね。

いやでも、読みづらいって言われたわけだから、
それは違うか。
やさしさも、ほどほどに、ってことですかね。

というわけで、
今週のコラムを担当しています、
電通の北田有一です。

読点が多くて、読みづらい箇所があったら、
すみません。

あと2回、よろしくお願い致します。