オヤジDJへの道 その1
永見浩之
ちょうど去年の今頃である。
スタンダード通信のYさんにスタ通主催の「ロックの日」という
DJイベントに誘われたのだ。
渋谷のさびれたビルの5Fのバー。
そこでは、スタ通のおじさん達がロックのレコードを大音量でかけながら
酒を飲んで、みんなでワイワイやっていたのである。
いや、ただ、それだけなんだけど。
ものすごく楽しかったのだ。
「ロックを大音量で、みんなで聞くと楽しいんだ!」
僕はパーティーというものが苦手で、あらゆるパーティーに
近づかないようにしているのだが、
なんかよく分かんないけど「これ、革命的かも」と思っちゃった。
でも、なんで?
僕にもよく分からないぐらいだから、
行ってない人は、もうここで脱落するかもしれないので
理由をちょっと考えてみます。
僕は、音楽聞くのが唯一の趣味といっていいぐらい、大好きなんだけど、
最近は自分の好きなものをiTune Storeでダウンロードして、
それをiPodに入れて電車の中でヘッドフォンで聞いて、はい、おしまい。
消化したら、また次の曲落として、そんな感じで一人黙々と聞いてたんですね。
誰とも「これ、いいね」なんて、喜びをシェアせずに。
そんな音楽の愉しみ方になーんか閉塞感を感じていたんだと思うのですね。
だけど、このイベントは音楽を、昔のようにみんなでシェアして
楽しんでいる感じがして、それがたまらなく新鮮に感じたのだと思う。
友達に「これ良かったぞ」とレコード貸し借りしてた学生の時のようだ!
え?だけど、クラブでよくやってるDJパーティとどう違うの?
超普通のことじゃない?と、若い人にあっさり言われてしまいそうだけど、
いわゆるクラブで、誰が演奏しているかも分からない
匿名性の高い音楽(テクノ〜ハウス〜ファンク系)ではなくて、
ボブ・ディランとか、アル・クーパーとか、スージー・クアトロや
バズコックス、トム・ロビンソン・バンドなんかが、かかってたんですよ!
クラブでかけるにはなんともベタなロック。
音だけで誰だかわかるような、演奏者がはっきりしているものが
そこでは、プレイされていたことも大きいのかもしれない。
さらにクラブとの違いで言うと
クラブのDJって、ものすごいテクニックでスクラッチしたり、
違う曲を同じBPMでつないで、2枚のレコードを行って来いしたり
テクニック至上主義のイメージがあるじゃないですか。
でも、このおじさんDJ達は曲が終わったら、間髪入れずに、
次の曲流すだけで、まるでテクニックを感じさせないわけです。
そこに僕は「DJのテクニックよりも、肝心のかけてるロックを聞けよ!」
というメッセージを感じてしまったわけです。
テクニックより、選曲。
彼らは、自分たちのことを、「僕らDJじゃないんです、セレクターなんです」
と言ってました。
と、ここまで書いてて、うーん、どうですかね。魅力が伝わりましたかねぇ。
伝わらなくてもしょうがないですけどね。
でも、その日から、僕は40代後半にして、
DJになろう!と思い立つのです。
続く。
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