空手話 その3
で、次の日。まず、僕は本屋で組手の本を買い漁ることから始めました。組手とは何
か、どういう技が必要なのか、を頭で理解しようと。実戦では、平日も時間があれば
道場に通いました。カミさんにはモチロン黙って。だって「そんな時間があるなら家
に帰ってきなさいよ!」と言われるのがオチですから。
あと、社内の先輩、リレーコラムにも投稿している長谷部守彦さん!
長谷部さんは、少年時代から伝統空手や極真空手をやっていて、モノホンの黒帯。ま
だ、博報堂が田町にあった頃、近くの港区スポーツセンターで何度か一緒に練習させ
てもらいました。あそこには、大きな武道場が二つもあって、平日の昼間は個人に貸
してくれるんです。そこで毎回、組手の基本やコンビネーションをいろいろ教えても
らいました。いつも僕たちだけの貸切り状態なので、ある時、長谷部さんに尋ねてみ
ました。
「みんなもっと使えばいいのに。勿体無いッスよね。」
それに対してのご返答。
「…あのな、平日の昼間にTシャツ短パンで組手の練習やってるバカは俺たちだけな
んだよ。」
ご尤も・・・。でも、本当に丁寧に指導してもらいました。長谷部さん、ありがとうござ
いました!社内でも会議室とかロビーでたまに二人で練習しました。その時の証拠写
真です。たまたま通りかかったコピーライターの呉功再くんにフォーカスされました。
http://tcc.gr.jp/DL/P1000441.JPG
ま、そんなこんなで自分なりに頑張って、半年後、僕をボコボコにした相手と練習試
合をする機会があってリベンジしたわけですが…。
…実は、勝ったんです。
試合の後半、僕の上段突きが極まったんです。今になって当時を思い出すと、「極ま
った」のではなく「極まっちゃった」だけなんですけどね(苦笑)。多分たまたま。
つまりマグレなんですけどね。
でも、息子は大喜びでした。あの時の彼の満面の笑顔は今でも忘れられません。家に
帰ってからずっと「パパ、勝ったんだよ!強かった!」と言って妻や娘に自慢してま
したから…。よほど嬉しかったんでしょう。父親としての雪辱は果たしたようです。
<続く>
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