リレーコラムについて

あのときを、語ろう。〜はじめましてとプレッシャーとありがとう〜

勝浦雅彦

はじめまして。
電通九州のチョイワル兄貴こと小川さんからご紹介頂きました、勝浦雅彦と申します。
質屋さんのCMで、今年新人賞を頂きました。

最初のコラムなので、まず自己紹介をさせていただきます。

乙女座でA型の33歳。草食系男子を地で行くようなルックスです。嘘です。
よく、千の風の人に似ているといわれます。
出身は千葉県千葉市。とりたて特色があるわけでもない、新興住宅地で育ちました。
歴史の教科書にも出てくる加曽利貝塚の近くの町です。高校までは千葉県。大学は東京。
就職も東京の広告会社。
そんな僕がなぜ九州にいるのかと、多くの方は疑問に思われるわけですが、
それはおいおいお話できればと思います。

ところで、僕が29歳で電通九州にやってきたとき、「コピーライター」という名刺を
持つ人が僕以外、全員TCC会員でした。
この事実は、関門海峡を渡る前に何となく聞いてはいたのですが、当時、広告賞という
ものを一切取ったことがなく、TCCに応募したことすらなかった僕としては、
そのすごさにピンときていなかったんですね。
(そもそもそんな僕が何で会社に入れたのかが謎だったりしますが)

初めてオフィスに入った日のことを、よく覚えています。

ボスに案内されて到着すると、打ち合わせスペースには爆笑王が爆笑しながらタバコを
ふかしており、フロアに入ってすぐの机では湯けむりプランナーが眉をひそめながら
企画しており、その対面には公共メダリストがおり、僕が座るべき机の前には艶女王様が
神々しく鎮座し、初日に仕事の説明を受けたのが前述の、鋼のような肉体を持つ
チョイワル兄貴でした。ボスも含めて全員、TCC会員です。

「濃い。濃すぎる。こんなところでやっていけるんだろうか・・・」
顔の濃さには定評のあった僕も、さすがにひるんだ瞬間でした。

その後三年間、「一人だけTCC会員じゃないプレッシャー」と戦いながら、時には喜び、
時には悲しみ、友と肩を叩きあい、沈む夕日をいくつも数えながら、歳月は筑後川
のように流れ、なんとかこのコラムを書けるまでになりました。

その嬉しさあまって、先日の授賞式には千葉に住む母親を招待しました。
僕のわがままのせいで、九州と関東に離ればなれになってしまった母親は、息子との
久しぶりの再会を喜び、ニューオータニの会場を縦横無尽にうろうろし、
その華やかさにはしゃぎ写真を撮りまくり、他の授賞者の方々となぜか名刺交換をし、
佐々木宏さんに親子のツーショット写真のシャッターを頼もうとする、
という荒行にチャレンジしようとしました(直前で止めましたが)。
そして母親は、
「疲れた、もう帰る」
とひとこと言い残して、パーティーにほとんど出ることもなく、会場からタクシーで
一人去っていきました。
その150センチにも満たない小さな背中を見送りながら、
一緒に帰ることのできない親不孝を心の中で詫びたのでした。
ありがとう母よ、そして直前で社交ダンスの大会で足を痛めて来れなかった父よ。

もし、このコラムをお読みの女性の方で「なかなか合うブラジャーが見つからない」
「いいボディスーツが欲しい」「パンストがすぐ伝線する」・・・といった悩みを
お持ちの方は、うちの母親にご相談ください。下着屋さんをやっています。
(これ、せめてもの親孝行で宣伝しております)

・・・というわけで、のっけから話がとりとめなくなっていますが、一週間よろしく
おねがいします。明日は、面白くない話をします。

ご意見・ご要望・下着の相談等がありましたら、
masahiko.katsuura@dkj.dentsu.co.jpまで。

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