「青春のフラッシュメモリー(暗黒面)」
さて4晩目です。
昨晩は清濁がどうのこうのというお話をさせていただきましたが、
僕はパッと見、どうも「濁」の方の印象が強いようでして、
そのせいか、昔からとにかく女の子にモテません。
それどころか、むしろ僕にとって女の子は長らく恐怖の対象でした。
たとえば子どものころ「パラシュート花火」が大好きだったのですが、
昼間の公園で打ち上げるたび、
同年代の女の子たちがブランコや砂場で遊ぶのをやめて「わーっ」と寄ってくる。
寄ってくるだけならいいのですが、
あろうことかせっかく打ち上がって上空で気焔を吐き、
満を持して舞い降りてきた僕のいとしのパラシュートたちを、
彼奴らは笑顔で横取りしようとするわけです。
もう、それがコワイのなんのって!
恐ろしきこと、まるで「バイオハザード」でゾンビ集団が屍肉を喰らうシーンのよう。
いっしょにいたお母さんにうわーんと泣きつき、
純然たる大人パワーで取り返してきてもらったことは、言うまでもありません。
(ところで「うわーん」といえば、どうして漫画版ドラえもんでは、
のび太は「うわーい」と言いながら泣くんですかね?)
ほかにも毎年正月にはランニング一丁で枝切りばさみを振り回す幼女(従妹)に
追いかけまわされたり、春には幼稚園の隅っこでうじゃうじゃ湧くヒルを石で潰すのを
無理やり手伝わされたりなど、女の子に関する恐ろしい思い出は枚挙に暇がありません。
最悪なことに、小さいころって女の子の方がガタイ良かったりするじゃないですか。
物心ついたときには、すでに毎日が女との(一方的な)修羅場。
生涯忘れることのできない「お医者さんごっこ」も経験しました。
そのころ「ザ・ベストテン」にランクインしていた、
松村和子の「帰ってこいよ」を口ずさんでは、「帰ってこなくていいよ」
とひとりノリツッコミを入れていたことは、言うまでもありません。
それ以降も、僕は女という生き物が先天的に持つバイオロジカルな恐ろしさに、
苛まれていきました。僕の脳髄のごく限られた部分にごく少量ある
「青春のフラッシュメモリー(暗黒面)」は、すでにオーバーライト寸前。
それでもまるで深く打ち込まれた楔のように、生涯忘れることのできない
「泥玉のクリティカルワード・ワースト5」を、今日はご紹介しましょう。
【第5位】剛くん、おもしろい顔〜。
中学のとき、ぜんぜん好きでもないのに自分のことを好きにちがいないと
勝手に勘違いしていた、どうしようもなく頭の悪い女に言われたセリフ。
意味はおそらく「おもしろい顔のあんたは、はなからアウトオブ眼中よ!」か。
好きではなかったが、ちょっとかわいかったので、とてもむかついた。
「ちょっと自他ともに認めるポカリのCMに出てきそうなさわやかお嬢だからって、
調子に乗ってんじゃねえええええええよ! 俺さまの特大黒なすびをくらえ!」と、
無言で視姦してやったのは言うまでもない。
【第4位】フリフリマン。
小学生のとき、好きだった女の子につけられたあだ名。
意味はいまだ定かではないが、「○玉フリフリさせてんじゃねーよ!」
ということだったと思われる。
当時通っていた香川県の小学校は、制服制だった。
黒の学生服で、冬は長ズボン、夏は半ズボンだった。
高学年になってくると、1年に10cm以上も身長が伸びたので、
年度が変わって夏にもなると、たしかに僕の半ズボンはピッチピチだった。
そして金○はフリフリしていた。とはいえ、よりにもよって好きな女の子にそれを、
しかもあだ名という形で間接的に指摘されてしまうという
最上級の辱めを受けなければならない理由が、どこにあるのだろうか?
【第3位】あなたは悪くないの。私の問題なの。
社会人になって、一瞬付き合った先輩に言われたセリフ。
私の問題→私の見込み違い→私に見込み違いさせたあなたの問題という風に、
男として容易にその意味するところを瞬時に捉えなければならないセリフである。
とはいえ、瞬時に捉えられたところですでにリカバリー不可能であるところが、
にんともかんともせつなさ炸裂。
【第2位】幸せを感じるポイントが違う。
これも非常に凹むセリフである。とてもかわいい普通の女の子だったが、
花やしき遊園地でデートしていたときに感極まってマニアックなひとりツッコミ芸を
勝手に披露したのが、最大の遠因だったと思われる。
普通の女の子の前では、大人しく普通にしていなければならないという、
「普通革命」という名のマイレボリューションが、分かりはじめた夜だった。
【第1位】今日は夜から明日の朝まで予定があるの。ごめんね。
これだけ口頭ではなく、ケータイメールである。
前後の文脈から、意味は「今日は別の男が来るからあんたとは会えません。
っていうかうっとうしいから2度と連絡してくんな!」ということ。
仮にも付き合っていた相手にこんなことを言われてしまうと、
怒り心頭を通し越して殺意を覚え、
その直後にそれすらも通り過ぎあきれ果てるしかない。
特に恨みを買うようなこともしていないために文面がやわらかく、
それでいて「察しろ!」という空気が緊張感をもって文面に滔々と
満ちあふれているあたりは、かなりのコピー力だ。
あきらめはいつしか、感心へと変わっていた。(←ウソ)
いや〜、女の子って、本当にコワイものですね。
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