リレーコラムについて

無差別コラム【コピーの恩人】

横田俊郎

最後くらいは、コピーのことを書こうと思います。

2005年。

なんとなくコピーライター養成講座に通い始めた僕は、
課題を出しても出しても、金の鉛筆をもらえない劣等生でした。

日本を代表するコピーライターが何十人も、週がわりで登場して、
その誰にも評価されないということは、僕には全くセンスがないのだろう。
そう思いかけたところで一人だけ、僕に鉛筆をくれた先生がいました。
しかも、一等賞の鉛筆です。それが、小西利行さんでした。

翌年、小西さんが講師を務める「専門コース」の開講案内が来ました。
自分のコピーをただひとり褒めてくれた先生の、単独講座。
あの案内が来なかったら、僕はコピーを辞めていたかもしれません。

専門クラスでも、小西さんは僕のコピーを(わりと)褒めてくれました。
「俺は好みがヘンだから、あまり参考にならないよ。」なんて言いながら。

僕は小西さんのおかげで、コピーを書く楽しさを知りました。
「おっさんにも書けるようなコピーは書くな。」という小西さんの言葉は、
それからずっと、僕がコピーを書く時の羅針盤になっています。

2008年。

僕はヤマサ醤油の仕事で、
TCC新人賞をもらうことができました。

この仕事で、何百本では済まないくらいのコピーを書きましたが、
その過程でアドバイスをくれたTCCの先輩方は、
みんな、リクルート出身のコピーライターです。

突然押しかけた僕にイヤな顔ひとつせず、
ぐっと視野の広がるアドバイスをくれた、東秀紀さん。

何本出しても「全体的にイマイチ」と容赦なく一刀両断、
愛あるスパルタが痛いけど気持ちいい、篠原茂さん。

僕が入社して間もない頃からCDとしてついてくれて、
コピーって面白そうだな、と思うきっかけをくれた、戸部二実さん。

世紀の名コピー「平田、意外とデカい。」を生み出した人、
ずっと一緒に仕事をしてみたいと思っていた、田口博史さん。

年齢は2つしか変わらないし、タイプも全然違うけど、
なんだかとても刺激をくれる、富田安則さん。

そして、この2年間、追いつこう追いつこうと頑張ったけれど、
0.02ミリも追いつけなかった、日野貴行さん。

みんな性格も、作風も、てんでバラバラですが、
共通しているのは、とても人間くさいコピーを書くところだと思います。
こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、
都会的でスマートなコピーを書く人は、
リクルートという風土からは生まれにくいのかもしれません。

2010年。

今日、ここに名前が出てきた人たちは、みんな僕の恩人です。
もちろん、他にももっと、たくさんいます。

恩人の多い人生は、いい人生だと思います。
僕はコピーを書き始めてから、恩人がとても増えました。

横田俊郎
リクルートメディアコミュニケーションズ
yokota_t@r.recruit.co.jp

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さて、来週は…

レッドバロンの広告で2009年のTCC賞を受賞された、
「エロの宝石箱」こと、クリントの漆畑陽生さんが登場します。

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