リレーコラムについて

夢のコラム(3)

渡邉寛文

それは、まだあどげない小学生の僕。
引っ越したばかりの新築のわが家で起こりました。

その頃の僕は「ストリートファイター」という格闘テレビゲームにハマっていて
ヒマがあれば兄を誘って対戦していたのですが、兄はとてもゲームがつよく、
僕はよく返り討ちに必殺技の練習台にさせられ、辛酸をナメさせられていました。

-なんとかして兄に一矢報いたい-

相手にもされてないという屈辱感が僕を強くし、僕は練習の過程で、
ハメ技という防ぎようのない不思議な技をあみだしました。

-これで兄に勝てる-

ある日、僕は何食わぬ顔で兄をゲームに誘い、
リュウ(メジャーで扱いやすい空手の達人的キャラクター)を選ぶと、
兄はいつものように余裕の笑みを浮かべながら
ザンギエフ(マイナーで扱いが難しい外人レスラー的キャラクター)を選びました。

-fight!-

戦いがはじまると、僕は覚えたてのハメ技で、兄に何もさせないまま勝つ、
ということを何度も繰り返しました。

それは、もう、とてもすがすがしい気分でゲームをしていると、
兄が突如、コントローラーを投げ捨て、ファミコンを叩きつけ、
ゲームソフトを2階から外に投げ捨てました。

(やべー!温厚な兄貴がキレた。)
※兄は本当に温厚でいつも笑っているような人です。

僕は内心ひや汗をかきながら状況を見守っていると、
兄はそれでも怒りが治まらなかったようで、
僕をザンギエフ顔負けのスリーパーホールドで締め上げてきました。

兄は、当時、中学生でバレーボール部だったため、
小学生の僕が腕力で勝てるわけなどありません。

ただ、僕も黙って負けるほどカワイイ弟でもなかったので、
ジタバタと悪あがきを繰り返しました。

すると、わずかなスキができ、どうにかして脱出することができたので、
僕はリュウになったつもりで後ろ回し蹴りを試みました。

「うりゃー!!」

「ズドン!」(何かに当たる音)

(!?)

大きな孤を描き、兄の顔面を目掛けて放たれた僕のカカトは、
兄を通り過ぎ、新築の壁にめり込みました。

家族の夢だった新築一戸建てに穴が・・・

焦った僕と兄はケンカのことはさておいて、必死にその穴を隠しました。

ふたり協力して穴に粘土を埋め、家具の位置をズラし、
見た目には分からなくしたのですが、そんな付け刃が通用するわけもなく、
ほどなくして母にバレました。

-新築の壁にぽっかりと開いた穴-

母は激しく怒りました。

兄は必死に僕をかばってくれました。

僕は断固として兄のせいだと言いはりました。

その日以来、兄は僕とゲームをしてくれなくなりました…

夢のマイホームに開いた穴は、僕と兄の間にしこりを残しました。

ゲームはリアルばりに痛いのかもしれない、
この一戦で僕はゲームの怖さを知りました。

怖さと言えば、いま、怖ろしいくらい眠いです。

昨日サボったぶん、続けて2日分といきたいところなんですが、ごめんなさい。

と、いうことで。

それでは、みなさん、いい夢を。

おやすみなさい。

NO
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