そふぁりひょん
そふぁりひょん。
夜な夜な気持ちよくお風呂に入って一日の汚れを落とし
「ほんのちょっとだけ」と言いながら
リビングのソファに寝転ぶ。
本を読んだり、音楽を聴いたり
大好きなビーズ刺しゅうをしたりする。
が、そのまま寝込んでしまい、
午前4時ごろ、寒くて目覚め、
慌ててベッドに行き冷えてつめたくなった足を、
寝ている家人の足にくっつけ
暖をとったりする妖怪。
無害、と本人は思っているが、
4時くらいにうろうろ活動するため、
目が覚めてしまう家人は、かなり不愉快という。
基本的に、
一日中仕事やPTAや塾のお弁当や送り迎えに追われ、
ママ友からのメールへの返信にもプレッシャーを感じる。
誰からもメールが来ず、
洗濯物がたためていないのに、
ソファに座ってゆっくりする自分を責めるような
家人の目線が気にならなくなる時間に、
ちょっとだけ、
ほんのちょっとだけ自分時間を持ってから寝たい、という願望を
もった母親が妖怪化するケースが多い。
朝の光を浴びると、もとの母の姿に戻る。
妖怪界の総元締め、ぬらりひょんは
夕方くらいに、すっと家に上がりこんで、お茶を飲んでいる姿が
あまりに自然なため、みんながこの家の主、と思ってしまうと
言われているが、
名称が似ているという以外、共通点はない。
「昨日もそふぁりひょんが出た」
夫と息子の朝ごはんの恒例の会話である。
今日、東京はソメイヨシノが満開。
街に新入社員が溢れている。