オマーン湖
篠原誠
さてさて、本日も「老い」をテーマに
コラムろうと思いますが、今日は、おやじギャグについてです。
おやじギャグとはその名のとおり、おやじがいうギャグなわけですので、
もちろん老化の初期症状なわけです。
ですが、私、大きな勘違いをしておりました。
というのは、おやじギャグというのは、
おやじになると面白さの基準がかわってしまって、
思わずおやじギャグが出てしまう。
つまり、笑わせる能力が低下するのだと思っておりました。
または、その笑いの三半規管が壊れてしまっていて、
自分では面白いと思って思わず言ってしまうのではないかと
おもっておりました。
しかし、実際、おじさんになってみて、
これが大きな間違いだということがわかりました。
おやじギャグが、寒いのも面白くないのも実は、
おやじたちは、十分に理解しているのです。
わかっているのです。
がしかし、言ってしまうのは、おやじギャグを言うとキモチいいのですよ!
わかりますか?この感覚。
あのときもそうでした。
後輩「昨日遅かったんで、眠れなかったんすよ。」
私「そっか。寝ずじんぱちかぁ。」
この瞬間、後輩の顔が曇ることなど、もちろん予想しており、
後輩の私を見る目が悲しい目になることも理解しているのです。
しかし、「寝ずじんぱち」と言う瞬間、晴れやかな気分になるのです。
またある時は、プロダクションの若手プロデューサーと電話にて。
P「篠原さん、夕方は空いてますか?」
私「夕方はベッケンバウアーで、無理ですね。」
この後の空白。明らかに電話の向こうでたばこの煙を吐く
Pのため息が聞こえてくるのです。
そしてまたある時には、打ち合わせを済ませ、少し疲れた様子で席にもどる。
私「よっこいしょういち」
やさしいデスクの女性は聞こえないふりをしてくれます。
わかっているのですよ、これはセクハラよりも
やってはいけないことだということを。
でも、「よっこいしょういち」と言いながら席にすわり、息を吐くと
疲れがすっとなくなるのです。わかります?
緊迫した若い営業との打ち合わせ、
若い営業「それナレーションでも、入れて欲しいんです。」
私「それさ、わけわかめだぞ。」
わかっているんです。そんなこと言ったって、
若い営業は笑ってくれないことを。そして、
ナレーションも増やさざるをえなくなることを。
でも、言ってしまう。いや、言うとなんだか、
すっとするんですよ。これこそが、正に老化なのです。
酢の物が、歳をとるとおいしくなるように、
おやじギャグをいうという行為は、歳をとるとキモチがよくなるのです。
だから、みなさん、おやじがおやじギャグを言ったとしても
「つまらない人発見」という目でみるのではなく、
「老化がはじまっているのですね」と、どうぞやさしい目で
みてあげてください。
ちなみに、寝ずじんぱちの時の会話の続きは、
後輩「(うろたえながら)え、はい、あ、篠原さんは眠れたんですか?」
私「ん?俺は、寝ずじんぱちからの、ロケバスでネルネルネ〜ルネだよ。」
後輩「………。
あの時の後輩の目が今でも忘れられません。
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