リレーコラムについて

監督

渡辺悦男

サッカーのアジア・カップから目が離せない。
火曜日の韓国との試合は延長でも決着がつかず、PK戦になった。
このとき監督のアルベルト・ザッケローニは、
最初のキッカーに本田圭佑を指名した。
この監督は人心掌握がすぐれているなと思った。
というのも、本田は延長のときにPKを蹴り、失敗しているからだ。
(キーパーが弾いた球を細貝がゴールしたが)
本田を最初のキッカーに指名するということは、
本田本人に対してだけではなく、すべてのプレーヤーに、
「おまえらを信頼しているぞ」
というメッセージを送っているように思えたのだ。

ザッケローニは私とほぼ同い年だが、すでに監督経験は28年におよぶ。
プレーヤーとしての経歴は20歳までで、
サッカー人生のほとんどを監督として過ごしている。
いわばプロのチームリーダーなのだ。
日本はいい監督を選んだのではないかと思う。

彼の経歴を見て思い出すのは、
昨年大リーグ、アトランタ・ブレーブスの監督を引退したボビー・コックスだ。
名将ボビー・コックスは、大リーグで通算29年監督を務め、
ブレーブスでは途中解任を含めて25年間監督を務めた。
大リーグでプレーしたのはわずか2年。
歴代4位の2504勝の勝ち星もさることながら、
161回の退場という大リーグ記録が、彼の生き方を物語っている。
それは自軍のプレーヤーを守ろうとする行為で、
「おまえら、後は任せたぜ」
と背中で語って退場する。
このボビー・コックスが引退表明の記者会見で涙を浮かべて語った
「選手たちは、私の誇りだ」
という言葉は、彼ならではの言葉だと思う。

私たちの広告制作という仕事もチームプレーだ。
私もいずれ引退するときは、
ボビー・コックスのような言葉を言えるようになりたいと思う。

さて、明日の夜は、オーストラリアとの決勝だ。
香川真司が離脱してしまったが、ぜひ日本に勝ってほしい。
これに勝てば、ザッケローニは日本代表監督の無敗記録となる。

1週間走りつづけて、もうくたくたです。
倒れこむように次のランナーにタスキを渡します。
その人は、阿部祐樹君。
去年の暮れに会社の同じフロアで席を移動して、
阿部君の隣になりました。
ご近所づきあいの挨拶代わりにこれですか、
と彼は言わなかったけれど、
ほんと忙しいのに、ごめんね。
彼はまだ若いけれど、すばらしいチームリーダーです。
どうぞよろしくお願いします。

渡辺悦男の過去のコラム一覧

2893 2011.01.28 監督
2892 2011.01.27 鉄路の旅
2890 2011.01.26 続・万年筆
2889 2011.01.25 万年筆
2888 2011.01.24 駅伝
NO
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5805 2024.11.22 中川英明 エキセントリック師匠
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