万年筆のとびら2
一生モノの万年筆、どこで買えばいいの?
ある先輩に相談し、紹介してもらったのが、
4畳半ほどの小さな万年筆専門店。
書く人の筆圧やペンを持つ角度などにあわせて
店主が1本1本調整してくれる店らしく。
最初の万年筆はここで買うぞ、と決めて行きました。
さっそく店主に、一生モノの万年筆を探していると話すと、
太さのちがう万年筆を何本もショーケースから取り出して
試し書きさせてくれました。
あいうえお、あいうえお・・・
意味のない言葉を書きつらねている間、
店主はたんたんと、万年筆を選ぶポイントを
丁寧に説明してくれます。
うん、やっぱりこの店で買おう。
そう気持ちが固まってきたとき、
その店主は言いました。
あなたが一生モノの万年筆を探しているなら、
この店だけで決めてはいけません。
デザインも、書き味も、手になじむかも、
たくさん見て、手にとって、書いてみなくちゃわかりません。
それでもここのがよければ、またいらしてください。
えええ? そうなの?
そこからまた、万年筆さがしの放浪の旅がはじまります。
万年筆が置いてありそうな店に行っては、
気になるものを試し書き。
結局たどり着いたのは、
某国産ブランドの翡翠色の万年筆でした。
(最初の店の店主さん、ごめんなさい)
自分の書きぐせをカルテに書いて
オーダーメイドし、待つこと2カ月。
先日ついに、その万年筆が届いたのです。
うれしくてうれしくて、
いつも3行くらいしか書かない日記を
ここのところ2ページくらい書いています。
先日の朝倉勇さんのトークショーでも、
愛用の万年筆を見せていただきました。
朝倉さんは、ブランドも太さもちがう
黒い万年筆を何本も持たれていて、
その1本1本が、
朝倉さんの手の一部のように
しっくりなじんで見えました。
そのうちいろいろ欲しくなりますよ、
と朝倉さん。
私の万年筆のとびらは、
まだ開いたばかりのようです。