リレーコラムについて

コピーって、快感。

広渡紀子

資生堂の小幡さんから引き継ぎました、広渡紀子です。
小幡さんとはTCC新人賞の同期。その後、もう30年近く、
お互い、まだこの業界でなんとか生きているね、と話す仲です。

私は、運良く続けてこられただけ。必ず誰かに助けてもらってここまで来た、
と今さらながら思うのです。

コピーライターになったきっかけは、大学の広告管理論ゼミ。
男子学生が多い中、なぜか女子が集まり、
学生広告論文電通賞にグループで取り組んだのですが、それが楽しくて!
賞もいただき、広告って面白いかも、と思ったのです。
さらに恩師の小林太三郎先生に
「広告の世界なら、コピーライターという職業があり、女性にも向いている」
と勧められた一言で、在学中に養成講座に通い出しました。

当時まだ雇用機会均等法施行以前のこと、
企業の大卒女子の就職口はほとんどありませんでしたし、
新しいカタカナ職業にもちょっと魅かれました。

課題で提出した自分のキャッチフレーズが褒められ、
大きな活字になって配られたときの感激は、今も忘れられません。
それまで高校時代から演劇や文化祭に明け暮れ、
浅はかにも女優?を夢見ていた私ですが、
これは舞台より快感かも・・・・と思ったのです。

言葉を思いめぐらす楽しさ、いいアイデアが浮かんだ時の感動、
一緒にものを作る喜び・・・
広告を作る面白さを、知ってしまったのです。
これは皆さんも同じですよね?

今、どういうわけか広告を大学で教える立場にもなり、
若い方々に、まずは、この面白さを味わってもらいたいと思っています。
そして、私がこの世界に入るきっかけをいただいたように、
広告が好きになってもらえたら・・・・。
そう思い、今は学生の皆さんと楽しい時間を過ごしています。
小林先生に感謝しつつ・・・。

葉桜や講義終へたる喉熱し   広渡詩乃(俳号)

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