あなたにぴったりの仕事。
私は大学を卒業すると、女性コピーライターの草分け、
脇田直枝さんに弟子入りしました。
プロダクションから電通のCR局に出向です。
最初は電話番とお茶汲みをしつつ、キャッチフレーズを書いた紙束を
朝夕、打ち合わせの合間に見ていただき、ボディコピーを書いては、
赤字を入れていただく。OKが出るまで何度も、何度も繰り返し。
そんな毎日でしたが、続けるうちに少しずつ、打率が上がっていきました。
厳しいけどやさしい脇田さん、ご自身の仕事でお忙しいのに、
よく丁寧に指導してくださったなあ・・・ほんとうに、感謝しています。
キッコーマンの雑誌広告や販促物、集英社の女性誌の広告などを担当。
仕事で料理も覚え、TCCの新人賞もいただきました。
30歳を前になんとかコピーライターになったところで出産。しばし、休職です。
休職中は、生まれたばかりの赤ん坊と向き合う毎日。
わが子は可愛いけど、なんだか世の中から置き去りにされているみたい。
仕事をしたい。でも・・・・。揺れる思いを抱え、1年間、主婦をしていました。
そんな私の心中を察したように、復帰の手を差し伸べてくれたのも、脇田さん。
ちょうど電通EYEという女性ばかりの広告会社を立ち上げたばかりで、
「あなたにぴったりの仕事があるから、いらっしゃい」
と声をかけてくださったのです。
それは、新しい紙おむつのプロジェクトでした。
入社してからは、保育園と会社を往復する日々が続きます。
子を置きて働けば北風 (きた)激しかり 広渡詩乃
洗ひ髪振り向きて子を驚かす 〃
仕事に家事に子育てに、忙しかったけれど、「今の自分にしかできない仕事だ」
との気負いもあり、無我夢中でした。
紙おむつの商品開発、パッケージデザインから、テレビ・ラジオのCM制作、
新聞・雑誌広告、全ての企画に携わり、コピーを書きました。
素晴らしい師匠に恵まれ、ぴったりの仕事に出会った私。
でも子育てと仕事を両立するのは、やはり大変だったのです。
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