銀座と保育園と。
電通EYEは、電通本社から出向の一部の男性社員の他は、
ほとんど女性という広告会社でした。
生活者の視点で、商品開発からマーケティング戦略、
広告全般の企画制作を請け負う、ユニークな会社だったのです。
社員もパワフルな女性が揃っていました。
場所は銀座5丁目、電通通りに面したビル。
老舗と海外ブランドの路面店が軒を並べる地域でした。
夏果や銀座日暮れて潮の香 広渡詩乃
私はここで20年近く、コピーライター、クリエイティブディレクターとして、
ネピアの紙おむつの他に、集英社、日産、田崎真珠、
アメリカンファミリー、たかの友梨ビューティクリニック・・・・
ほか、数多くのクライアントを担当させていただきました。
その間、やはり大変だったのは、子育て。
会社勤めとはいえ、広告制作の仕事は時間が不規則になりがちです。
朝、子どもを保育園へ預けるのはできても、お迎えに間に合わないこともしばしば。
撮影などで深夜になる日や、出張もあります。
夫の協力がないと、やっていけません。しかし、夫は海外出張も多いため、
実家の近くに引越し、母にも手伝ってもらうことになりました。
風邪で保育園に行けないときは、実家で面倒を見てもらうことに。
父に留守番を頼むこともありました。
そうやって家族みんなで、なんとか育て上げることができたのです。
子どもを置いてでも続けたいと思った仕事の1つが、
「ネピア赤ちゃん学の会」でした。
赤ちゃんを持つ今だからできる社会参加。母親どうし育児の悩みを話し合い、
世の中へ提案できる場を作りたいと思ったのです。
北海道から九州まで、全国のお母さんたちと直接話し合い、
その成果を育児書や、様々なかたちで発信していきました。
テレビや新聞などマスコミにも取り上げられ、
私は事務局としてこの活動を約10年、続けさせていただきました。
しかし、世の中は動きます。さまざまな要因で
電通EYEはその存在意義がだんだんと薄れていったのかもしれません。
でも、会社がなくなるとは、思ってもいませんでした。
私は銀座から、神保町の会社に移りました。
白服を吊るし一日を過去とする 広渡詩乃
2960 | 2011.06.03 | 日本の心を動かす仕事。 |
2959 | 2011.06.02 | 神保町便り。 |
2958 | 2011.06.01 | 銀座と保育園と。 |
2957 | 2011.05.31 | あなたにぴったりの仕事。 |
2956 | 2011.05.30 | コピーって、快感。 |