リレーコラムについて

東日本大震災とサバイバーギルティ。

竹内好美

3年前からコピーライターとカウンセラーという二足の草鞋を履きはじめました。
最近は、カウンセラーの草鞋の方が、履き心地がよくなりつつあります。

3月に起きた東日本大震災は、カウンセラーサイドの私に、
さまざまなことを教えてくれました。

「スピッツ・草野、急性ストレス障害で3週間療養 全国ツアー4公演見送り」

この記事を目にしたとき、思ったことは、「ああ、やっぱり草野さん」。

スピッツの曲の歌詞の繊細さ、もろさ。メロディーの美しさ、はかなさ。
曲の印象そのままに、草野さんという方は、格納容器なしで、
傷つきやすい感性を持ち歩いているような人だと思っていました。

津波被害の甚大さ、亡くなった人に寄せる悲嘆、福島第一原発への不安。
すべてを、フィルターなしでストレートに受け取ってしまうのでしょう。
すると、自分の日常がとても不安定なものに思えてくる。
TVに映る人々は、こんなに苦しい生活を強いられているのに、
自分が安穏と生きていていいのだろうかとも思ってしまう。
生きのびたことへの罪悪感を強く感じてしまいます。

大震災以来、過度なストレスを受けた草野さんは、心の緊張を解くことができず、
ひどく落ち込んで、パニック障害のような状態になってしまったのでしょう。
音楽活動を続けられなくなってしまいました。

草野さんほど繊細ではありませんが、私も4月半ばくらいまでは、かなり近い状態でした。
なにをやっても空しく、半年先、一年先のことがまったく考えられなくなっていました。

これ、「サバイバーギルティ」と言います。
生きのびたことへの罪悪感から、身体も心も変調を来してしまいます。

日本中のすべての人が目に見えないストレスを抱え込んでいます。
身近な人を亡くした場合は、立ち直りはさらに遅れます。

NO
年月日
名前
5798 2024.11.13 石橋枝里子 世界の授乳事情
5797 2024.11.12 石橋枝里子 寝起きの叫び
5796 2024.11.08 御倉直文 茶道の稽古を少々、ほんとに少々やってます。
5795 2024.11.07 御倉直文 文章を書くことと、泳ぐこと。
5794 2024.11.06 御倉直文 コピーも短歌も、リズムがよいと心地よい。
  • 年  月から   年  月まで