第五話:その男、『H』くん。
ラストは、CMプランナーのHくんという男です。
1年以上前のとある夏の話。
日差しの強い中、出勤途中、
若干いちびった(*調子に乗ったの意)感じで
Hくんは、音楽をガンガンに聞きながら、
ノリノリで歩いてました。
JR大阪駅の前にある大きな横断歩道で
ふと前を見たら、青信号が点滅してました。
「特に急いでないのに、気づけば、急いでしまう」という
せっかちな関西人の哀しい性が出てしまい、
すごい人混みの横断歩道を全速力でダーッと走りだしました。
そして、渡りきる瞬間です。
耳のイヤホンに引っかかるような感触を感じ・・・
「カッシャーン!」
何と、走った衝撃で、
イヤホンが抜け、MP3プレーヤーが落下し、
車道に転がってます。
それを茫然と見てたら、あろうことか、
そのプレーヤーのスピーカから爆音で
Hくんがさっきまで聞いてた・・・
♪女の子には
スカート ひらり ひる返し〜
走りたくなる時がある〜
(*AKB48「スカート、ひらり」)
ざわ・・・ざわ・・・
横断歩道で待つたくさんの人々が
無機物、例えばたんすを見るような眼で
Hくんを見てきます。
・・・神様、助けて下さい。
まだAKBがそこまでメジャーになる前で
Hくんは、AKBと仕事する事になりそうだったので、
勉強のためにCDを聞きまくってたら、
知らない間にハマってました。
そんな事情は誰も知りません。
車道の真ん中で鳴り続けるMP3プレーヤー。
車がビュンビュン走っているので、取りに行けない。
でも、取りに行きたい。
でも、車がビュンビュン来る。
でも、取りに行きたい。
取りに行こうとする!→危ないから戻る!の繰り返し
大縄跳びに入るのが下手な子供みたいな
動きのHくん(当時32歳)。
結局、知らないみんなと一緒に、
フルコーラスを聞きました。
信号が青になった瞬間、拾い上げ、
スカートはひる返しませんが、
すごく走り出したくなったので、
逃げるように会社に向かいました。
さて、ラストに登場したHくん、いや廣瀬泰三くん、
全5回のTCCリレーコラムお疲れさまでした。
そして読んでくれたみなさん、ありがとうございました。
もし、ご意見ご感想があれば、taizo.hirose@dentsu.co.jpまで
よろしくお願いします。
ちなみに、今、AKB48ちょ!の仕事を一緒にし、
すでにTCC会員である後輩ADの藤井亮くんに
「来週のリレーコラムどう?」ってメールしたら
「ぐだぐだのコラムで、紹介者であるたいぞーさんの面目を
ぶち壊す自信はあります!」
という返事がきたのでお願いする事にしました。
というわけで、藤井、来週は頼んだで〜!
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