リレーコラムについて

本棚より (4)

都築徹

本棚の前に立つたび、目に飛び込んでくる本がある。

山田風太郎『人間臨終図巻 上巻/下巻』

ひとの死に様と、突き放したクールなコメントが、
15歳の八百屋お七から121歳の泉重千代まで、
死亡年齢順に並んでいる。
さすが戦中派天才老人、山田風太郎。
やばすぎる。

死の二日前まで女陰の描写を口述筆記したポルノ作家。
死因が結核のため、身の回りの物といっしょに
未発表曲まで母の手で焼かれてしまった作曲家。
無の一字を墓に残して死んだ映画監督。
銀座のホステスをホテルに呼んで、腹上死した政治評論家。
陰嚢水腫でキンタマが巨大になったまま戦死した明治維新の大物。
「人間は猿から進化した」と説いたため、
教会に苦い顔をされながら葬られた学者。

死は、どんな偉人にもやってくる。
中学生の頃からだろうか。
死後の永遠を想うと、寝られなくなることがあった。
「死をはじめて想う。それを青春という」。
風太郎の言葉は、響く。

自分は、今年44歳になった。
この年で死んだのは、誰だろう。

坂本九 御巣鷹山に墜落死

サントリーの、あのCMを、You Tubeで観た。
生きている限り、上を向いて歩かないと。
そう思った。

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