リレーコラムについて

「絆」が日本をダメにする。

橋口幸生

今年の漢字、絆だったらイヤだなぁ。
でも絆なんだろうなぁ・・・なんて思っていたら
ホントに「絆」が選ばれてしまいました。

「ウェブはバカと暇人のもの」の著者
中川淳一郎さんが批判する記事(http://ow.ly/868l0)を
書いていましたが、僕もどうにもモヤモヤするというか
あまりいい気分はしませんでしたね。

歴史に残るような悲惨な災害や事故が起きて、
僕らが暮らす社会の色々なウソや矛盾が
むき出しになった年を、「絆」なんていう耳触りのいい、
無難な言葉にまとめてどうするんだ、と。

地震と津波に襲われ、絶望的な状況だった被災地で、
人々がお互いを支え合い
略奪などが起きなかったというのは、
たしかに素晴らしいことです。これは間違いない。

でも、それを大して被災もしていない都会人が
「これぞ日本人の品格!外国人もホメてくれておる」
と言わんばかりにドヤ顔で吹聴するのって、
どうなんですかね・・・。

そもそも
絆ってそんなにいいものなのか?
という疑問もあります。

放射能から子どもを守るお母さんを
モンスター・ペアレント扱いすることだって「絆」。

ツイッターで軽犯罪を告白した大学生を
集団で吊るしあげることだって「絆」。

なぁなぁの雰囲気のなか、企業の経営陣が
粉飾決算を長年続けることだって「絆」。

絆が人を不幸にすることなんて山ほどあるし、
特に今年は、そんな負の側面の方が目立っていたと思います。

いま日本に必要なのは、絆よりむしろ
自己中になることなんじゃないでしょうか。

たとえば、今年を代表する顔であるスティーブ・ジョブス。

彼が絆どころか独裁者のように仕事を進める人だったのは
よく知られるところです。

いまkindleで自伝を読んでいるのですが、
部下や同僚を理不尽に罵倒するし、
昔からの友達も平気で裏切るし・・・
正直凡人の僕にとっては、一緒に働いたり、
お酒を飲んだりしたいと思えるタイプの人物ではありません(苦笑)

でも、彼がやりたいことを自己中に貫いた結果、
世界を以前より少し面白く、
楽しい場所に変えてしまったのは事実。

絆からはiPhoneも、iPadも、ピクサーも生まれなかった。

「治世の能臣。乱世の姦雄」
なんて言葉があります。
いまの日本が治世か乱世かといえば、
間違いなく乱世なわけで。

そんな時代に必要になってくるのは、
同質性でつながりあう「絆」より、
ちょっとくらいの自己中は“まぁ、いいか”
と受け入れる「器」なんじゃないでしょうか。

一人ひとりが絆からハミ出すことを恐れず、
自己中に考え、決断した先にだけ、
未来があるような気がしています。

昨日のコラムと同じような内容になってしまいました。
スイマセン。

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