ボラ話③ ボランティア、病院へ行く。
捻挫した。足じゃなく、左手親指の付け根。赤くパンパンに腫れて、痛い。
6月末。宮城の亘理町で、一週間連続で活動しよう!と意気込んできたのに、
このありさま。5日目の活動を終えた後、腫れと痛みがひどくなり、
翌日、活動を休んで病院へ。無理しない。ケガしない。これがボランティアの
鉄則。なのに…、まいった。シュン…。
その5日間は、ほとんど真夏日。すぐに腕や顔が真っ赤になる。
泥と埃と汗にまみれながら、スコップやフォークを使ってガレキを片づけたり、
津波で浸水したお宅の壁や床板、天井をバールではがしたり。
壁の裏には、びしょ濡れの断熱材。床下には、大量の泥。
土のうにつめて、ネコ(一輪車)でどんどん運び出す。
中には、せっかくのフローリングをはがしたくない、という家主さんも。
その場合は、閉所恐怖症、暗所恐怖症の人たちがねたむ「もぐり」を行なう。
別に、ねたまないか。ねたまれたことないし。
頭にライトをつけ、手にチリトリを持って床下にもぐり、ほふく前進しながら
泥を土のうにつめていく。全身泥だらけになる、この「もぐり」だけど、
一度やるとけっこうハマる。「もぐり」のない活動なんて活動じゃない!
そこまで言うボランティアは、さすがにいないけど。
そんな、自分にとってはハードな活動の連続で捻挫したらしい。
ひねったワケではない。ただ貧弱なだけ。
亘理町ボランティアセンター近くの病院では、まずお医者さんに
「亘理にボランティアに来ていただき、ありがとうございます。」と感謝される。
(何をおっしゃる先生様。勝手に来て、勝手にケガしたボランティアなんかの
ために、先生様の貴重なお時間を…)と心の中でつぶやき、恐縮していたら、
「ところで、あと何日やりますか?あしたは?」と聞かれる。
あれ? あと何日? あした?
病院からの帰り道、頭の中にクエスチョンマークが。何だろう、この違和感。
しばらくして、気づく。そうだ、あのお医者さん、あの言葉を言わなかった。
普通なら言うはずの「あしたは大事をとって休んでください。」という言葉を。
なるほどなるほど。痛み止め飲んで湿布貼って、一日でも多く亘理のために
がんばってください。ということですね。了解です。
でも、先生、次の日がんばってみたけど、ホントはちょっと痛かったよ。
そういえば、痛い目にもあったけど、いい目にもあった。
いつの間にか四十肩が治っていた。いつの間にかお腹のぜい肉が落ちていた。
サンキュー!亘理!
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