リレーコラムについて

猫背のねだん

後藤由里子

ここには、掲示板というのがあるんですね。
のぞいてみたら、なかやまさんが
コメントをくださっていました。
一体これは誰が読んでいるんだろうって心配だったんです。
うれしい。うれしくなったところで、今日も書く。

実家で飼っている猫の背中にぐりぐりができた。
「なんかできてるよ」
「まー、げんちゃんも年だから」
「そうねぇ」
そんな会話をしたのはいつのことだったろうか。
ふと気がつけば、かなり大きくなっていた。
のんきな母もさすがに慌てて病院へ連れていった。

「明日手術だって。なんか無愛想なお医者さんなのよ。
あれはヘンクツかもねー」
ヘンクツさんによる手術は無事終わり、
その後も注射をうってもらうために
母は毎日病院へ通うことになった。
キコキコと自転車で。
後ろに猫、前に孫(私の娘)を乗せて。

「手術と注射でもう50万は払ったわね。
でも、途中でやめるわけにはいかないしねぇ。
明日は診療時間に間に合わないって言ったら
夜でもいいって言うの。
案外いい先生なのかも」

げんの背中には20cmもの縫い目。
毛をだいぶそったこともあり、ずいぶん悲惨な姿になっていた。
傷が痛いらしく、ひょこひょこ歩く姿は
まさにじーさん猫。
そうよ、おかあさん。
げんちゃんを途中で見捨てるわけにはいかないわ。

翌日帰宅したら母はげんちゃんをなでながら言った。
「夜行ったら、しっかり時間外料金で2倍だったわ。
いいですよーって言うはずよねえ」

「きょうはついにあの先生、
お孫さんかわいいですね、だって」
ヘンコツさんは商売上手。

みなさーん。
猫の背中にぐりぐりを発見したら
そっこーで病院へいくこと、です。

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