#03
広告とは、商品を売るためのものだ。
だから、商品が売れることを第一に考える。
もちろん商品のことだけを言うのがベストではなく
時代の流れを捉えたり、普遍的な感情に訴えかけたりして、
その時代を生きる人に「好き」になってもらうのが大切。
広告に関係する人は、みんな、そう思って生きている。
でも、生きているうちに、本当に売れる商品を担当できる人は少ない。
なんでも世の中には一年で何百万もの新商品が生まれているそうで、
そのうちほとんど99%が数ヶ月で生産がストップし、
世の中から消えてなくなるそうだ。そんなシビアな中で、
生き残って、しかも売れ続ける商品はそうはないからだ。
そういう意味では、僕はとてもついている。
僕が担当する商品は、嬉しいことにロングランする。
最初に担当したプレイステーションはすごくヒットしたし、
13年前に担当したセレナも売れまくったし、
10年前に開発から参加した伊右衛門も売れ続けてる。
そして、今回リニューアルした「プレモル」もそうだ。
今回のプレモルのリニューアルは、並々ならぬ意気込みで臨んだ。
とにかく、サントリーが社運をかけた大型商品のリニューアル。
そんなビッグな転換期に遭遇できること自体が奇跡だし、
さらに言えば、それを成功させるという目標はワクワクできるものだった。
そして結果的に、いま、プレモルはものすごく売れている。
それはもちろん、圧倒的に美味しくなったという事実あってのことだと思う。
でも少しだけ、表現もその売れ行きに貢献していると思う。
それは、タレントのパワーを最大化しつつ、
少し前の時代に失われてしまった「ビールの価値」を再度復活させるために
改めて「ビールの大切さ」を価値付けた広告だったからだと思う。
僕が理想に思う広告は、単に話題づくりのためだけの表現ではない。
5年後まで続くコンセプトに基づき、飽きられずに、
時代とともにメッセージが成長していくような表現だ。
ここに、新しいプレモルの最初の90秒CMのナレーションがある。
上記で書いたように、時代の転換点にビールを置き直し、
新しいプレモルがはじめる本当のビールの楽しみ方を語ったものだ。
先日、天野祐吉さんにCM天気図で褒めていただいたので、
調子にのってここに掲載したいと思う。
こういうところにナレーションのせるのはどうなの?
なんて言葉も出そうだけど、もう見られないCMなので、
興味のある方はぜひ、読んでいただきたい。
そして、このコンセプトが、あと5年以上、
プレモルを売り続けるための発射台になったかどうかを見極めてもらいたい。
ザ・プレミアム・モルツ「ビールの歴史」篇
ある人が言った。
日本の成長は、ビールとともにあったと。
経済が発展するにつれて、日本中の人がビールの美味しさを知り、
暮らしのいろいろな場面でビールを楽しむようになっていった。
人々の笑顔は、いつも、ビールと共にあった。
でも時代は変わり、いつしかビールは、
仕事のストレスを流すためのものになってしまった。
仕事の後の一杯はうまい。
でもそれは、本当のビールの居場所ではないと思う。
そう。ビールは大切な人と飲む方が、もっともっとうまい。
人と人をつなぎ、時に勇気づけ、時になぐさめ、
幸せを後押しして、何気ない日々を輝かせる。
それが、本当のビールだ。
2012、春。日本に輝きを。
新しい ザ・プレミアム・モルツ、始まる。
日本の毎日が、もっともっと、輝きますように。
以上。
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