リレーコラムについて

愛があるか

永友鎬載

先日、プレゼンで某クライアントに
行ったときのことを書こうと思います。

プレゼンの相手は、テレビや書籍などで
よく知っている有名な社長だったのですが、
僕はその場の出来事に感心させられました。

広告案を見てすぐ、
社長がものすごく怒りだしたんですね。
クリエーティブチームではなく、
クライアント社員の方々に対して。

「ちゃんとオリエンテーションをしたのか。
こんなんじゃ絶対売れない」と。

そして極め付けに、
「商品を愛して仕事してるのか?」
と吐き捨てるように言って、
会議室から出て行ったんです。

その様子を見ていて、
鈴木猛之さんのことをふと思い出しました。
猛之さんとは、僕が以前働いていた
パラドックス・クリエイティブの社長です。
「たけゆき」さんでも「たけこれ」さんでもなく
「たけし」さんと読みます。

僕はパラドックスが設立された翌年の2002年、
アシスタントとして入社しました。
というか拾ってもらいました。

今は社員が40人近くいると思いますが、
その頃は猛之さん、大澤範之さん、そして僕という3人で、
密度の濃い会社だったので、ほぼ毎日(土日も含む)、
猛之さんから鬼のように詰められていました。
僕がどうしようもなく使えない人間でしたから。

そんな猛之さんはことあるごとに
「ちゃんとクライアントを愛してるのかよ」
と言っていました。仕事のときだけではなく、
お酒を飲んでいるときも。

当時は「それはすごくわかるけど、いや、
でも愛って言われてもなあ」と思っていたのですが、
今はわかるような気がします。

この仕事はいろいろな事情、予算、スケジュールなど、
心が折れそうになることがよくあります。
でも、広告を見る人にとっては、
そんなこと全く関係ないですからねえ。

今日も疲れてるし眠たいし酒飲みたいですけど、
がんばってコピーを書こうと思う次第です。

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