絶対落ちたと思った。
クリエーティブ転局試験の2次試験。
時間の半分がプレゼン、残りは質疑応答。
会議室に入ると、すごく偉い方々が、
ずらっと20人くらいいた。
そんな体験は初めてだった。
プレゼンが始まり、
半分くらい話したところで、
制限時間のアラーム音。
「ええっ?もう?」
でも、言いたいことを言う前に
終わるわけにはいかない。
駆け足で話したものの、
大幅に時間をオーバーしていた。
「あなたは、プレゼンというものを
やったことがないのですか?」
と言われた。はい、すみません、と謝った。
がっくり肩を落として、会議室を出た。
これはさすがに落ちただろうな。
でも、後日送られてきた結果は・・・「合格」。
なぜ、ボクが受かったのか、今でも分からない。
でも、あの時落ちていいはずの人間を、拾ってくれた。
だからボクは、今、コピーライターでいられることに、
心から感謝している。
後日、1CR配属後に、審査員だった
福岡英典さん(当時SCD)と飲みに行く機会があり、
その時の言葉は今でも覚えている。
「転局試験はね、課題によって、向き不向きがある。
たまたま思いついた!というケースもあるから厄介です。
でも、文章を読めば、その人がCRに向いているかは分かる。
だからボクは、いい文章が書けるかを、特に重視しています。」
福岡さんのことを思い出すたびに、
あの時の言葉が心によみがえり、
言葉を、そして文章を大切にしようと心に誓う、
新米コピーライターだったのでした。
今日も、読んでいただき、ありがとうございます。
後半でようやくコピーライターになった後にたどり着きました。
明日は、師匠の門田陽さんのお話です。