リレーコラムについて

戯言

戸田大輔

いよいよ今日で最後です。

しかし、ぜんぜん筆が進みません。
キーボードを打つ指がフリーズしてしまってます。
苦肉の策として、最後くらいは仕事の話でも書きます。

僕の大嫌いな言葉は“気の利いたキャッチ”です。
いや、キャッチなんて気が利いてなければ
キャッチではないのですが、あえて。

これには、こんな理由があります。
昔、打ち合わせで、どうしようもないビジュアル・アイデアばかり出して
「なんつ〜か、“気の利いたキャッチ”があれば、企画として成立する気がするんですがね~」
と宣う、気の利かないADと出くわしたことがあります。

当時の若き僕は「そう言うなら、書いてやるよ!」と思っていたのですが、
ある日、深夜にその“気の利いたキャッチ”を考えているとき…

「あいつが無責任な企画だすから、深夜、俺はこのザマだ。
というか、この絵を広告として面白くするコピーなんて力量的に自分にはリームー」

そう思ってしまったのです。

翌日の打ち合わせ。
前回のどうしようもないビジュアルには、なんとかキャッチを書き、成立させてやりました。

ウソです。カッコつけました。
皆、疲れてたので、なあなあな雰囲気で終わりました。

しかし同時に、その打ち合わせで僕は、
目には目を、作戦をくわだてていたのです。

新案を出すとき。

「夏は暑いですね〜」
「夢は叶うといいですね〜」
「ジュースはおいしいですね〜」

といった何も言っていないキャッチだけを用意し、
「これ、“気の利いた絵”があれば、企画として成立する気がする今日この頃…かしこ」
と言い切りました。

ADはものすごい顔をしていましたが、
それ以来、“気の利いたキャッチ”を前提とした企画は出さなくなりました。

たまたま、そのピッチには勝つことでき、そのADともデタントしました。
が、それ以来、僕が「イヤだな~」と思う人は、“気の利いたキャッチ”と気軽に口にする人となりました。

もし、あなたがコピーライターで、
その類のADのせいで今夜、徹夜するなら、
上記のようなコピーもぜひ用意しておいてください。

効果テキメンです。

立つ鳥跡を濁さず。
なのに、ひんまがった性格全開の最終回になってしまいましたが、まあ、こんなもんです。
(いや、1週間、大変、失礼いたしました)

来週からは、性格も良く、イケ面。
しかも、つねに“気の利いたキャッチ”を書く、辻毅(ツジタケシ)さん。
新人歓迎会でポツンとしてた僕に話しかけてきてくれた恩人でもあります。

では、ツジさん、よろしくねー。

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3252 2012.07.25 示唆
3251 2012.07.24 薫陶
3250 2012.07.23 回避
NO
年月日
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5805 2024.11.22 中川英明 エキセントリック師匠
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