リレーコラムについて

野暮

尾形真理子

9月に入っても、残暑の厳しい毎日が続きます。

わたしが子どもの頃は、
「白と水玉の服はお盆まで」と母に教わりました。
お気に入りの真っ白のスカートや、紺地に水玉のワンピースは、
盛夏に着るから可愛らしくて、残暑になれば野暮という・・・。
同じ一着の洋服でも、わずか1カ月で別物になる。
子ども心にもなんとなく
「そんなものか」と思ったことを覚えています。

この野暮ったいという感覚は、なかなか勉強しづらいものです。
「なんだか野暮ったいなー」と、ことあるごとに思うのですが、
具体的にどこをどうしたら直るのか、
さっぱり分からないのがやっかいなところ。
街で垢ぬけた人とすれちがうたび、不躾に見入ってしまいます。

「野暮」の反対は、「粋」。
「洗練」とか、「しゃれてる」なんかも、対照的な意味の言葉です。
「粋な人」には、もちろん憧れるけど、どこかお高い感じもする。
「野暮」を笑って、「粋」が成り立つ。
そんな気がするのは、わたしのひがみ根性かもしれないし、
本当の「粋」を知らないともいえます。

粋はともかくとして、
もしかしたら野暮っていうのは、
自分の恥ずかしさに気づいていないことを言うのかもしれない。

そんなことをわたしが今日思ったのは、
9月も2週目になったのに、
タンクトップでサンダルを履いているから。
温暖化に言い訳して、いつまでも秋服に手を出さないでいる。
そんな恥ずかしげもなく面倒くさがる姿を見て、
人は「野暮」というのだ、きっと。

もちろん外見だけでなく、言葉の選び方や、心の有り様も同じなのかもと思いました。

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