リレーコラムについて

小さな話

河西智彦

この1週間、くだらないコラムに
おつきあいいただき本当にありがとうございました。
かなり無責任に書いていたので個人的にはものすごく楽しめました。

今日は最後なので記念として、
小さな「つ」の話をしたいと思います。

中学時代、暇な授業中に気にかけてから、
気になっている文字が小さな「つ」なのです。
日本語は音韻表記型の言語。
書きと音が揃うのが特徴で、英語やラテン語などとは違います。
で、数字の0ほどの話ではないですが、
個人的には小さな「つ」が日本語に奥行きを与えていると感じてます。
平安時代までこの小さな「つ」は存在していないようです。
「レ」とか「む」とかで代用されていたそうです。

「ゃ」「ゅ」「ょ」もそうだと言われればそうなんですが、
小さな「つ」は小文字じゃないですか。誕生したのは12世紀なので、
海外言語の小文字の影響を受けたとも考えられません。
誰かがはじめたんでしょうね「つ、を小さく書けばいいんじゃない?」と。
音で言えば、無音のこともあるし単なる破裂音でもありますよね。
それを文字にすることで、どれだけ奥行きが生まれたか。

あと小さな「つ」は日本語の音にリズムを与えてくれます。
僕は大学時代ドイツに留学していて、
もともと「音」も好きなのでいろいろな国の留学生が話す母国語を
「音」として聞くのが好きでした。
歌うような言語もあれば叩きつけるような言語もある。やけにニャーニャー言うなぁと思う言語もありました(どことは言いませんが)。

そんな中、「音」として聞くと、日本語はかなり平坦な言語なんです
(これは外国人たちも口を揃えて言います)。僕たちが思うよりも
はるかに抑揚がない。そして切れ目がないのです。
そんな中、一瞬の切れ目をつくるのが小さな「つ」なんです。

みなさんもご自分の文章を見返してみると、
意外と小さな「つ」が多いことに気づいたりしますよ。

まぁ幼稚な仕掛けなんですが、今日のコラム、
音でも文字でも小さな「つ」を一度も使わずに書いてみました。
なんか文章のリズムが悪いなぁと思われたなら、
それは僕の文章力のせいではなく小さな「つ」がないせいかもしれませんぜ。

さて、来週のコラム担当は
同じく博報堂関西支社の田中幹(もと)くんです。
彼はいわゆる天才肌で、彼と話す度に「あぁ、俺はもう一度人生を
やり直さないとこの領域まで辿り着けないんだろうなぁ」
と思うぐらい「人と違うことを考えてきた人生経験」が表に出ています。

幹、気楽にがんばれよ。
とりあえず、月曜日のお題俺が決めとくわ。

「前ピンと億ピン」でお願いします笑

NO
年月日
名前
5719 2024.07.12 吉兼啓介 短くても大丈夫
5718 2024.07.11 吉兼啓介 オールド・シネマ・パラダイス
5717 2024.07.10 吉兼啓介 チーウン・タイシー
5716 2024.07.09 吉兼啓介 吉兼睦子は静かに暮らしたい
5715 2024.07.08 吉兼啓介 いや、キャビンだよ!
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