リレーコラムについて

日本語って素敵

波多野治

昨日、私は最近中華圏での仕事が中心と書きましたが
当然、そこで作られる広告はすべてが中国語です。

はじめ中華圏で広告制作をするうえで
なにやら違和感を持ったのが
平面クリエイティブです。

なぜなら、それはそこに書かれている言語が中国語オンリーだからです。

日本人にとってとても奇妙に映るのは
漢字だらけで組まれたボディコピー。
なんだか、カッチカチに硬い文章に見えてしまいます。

それがお菓子でも、化粧品でも。
ね、想像しただけでも、奇妙でしょ。

フォントのバリエーションも少なく感じます。
そのせいか、やたらと袋文字とか使います、こちらのデザイナーの方は。
よくよく考えたら漢字のフォントで差を出すって難しい。
書体自体が簡単な英文字や
日本語にあるひらがなやカタカナは
デザインしやすいんだな、ってあらためて感じます。

漢字、ひらがな、カタカナ、外国語。
文章内に混ぜて使えるのも、日本語ならでは。
なんだか懐の深い言語ですね。

広告において文字も極めて重要なデザイン要素。
だからこそ、美しく見えるコピーも必要なんだ。
普段は気にかけていなくても、きっとどこかで美意識が働いている。
そういうコピーライターでありたいと思いますね。

また、言語での表現方法がかなり異なります。
日本語では当たり前の擬態語擬声語が極端に少ない。
さきほどの「カッチカチ」なんて、そのまま訳せません。

また中国語では漢字が一文字一文字それぞれ意味を持っていたり
同じ言葉でも全然違う意味を持っていたりします。
たとえば「不好意思」は
「すみません、ごめんないさい」という意味のほかに
「恥ずかしい」という使われ方もします。

全然ちゃうやろ、それ!
と、ツッコミのひとつも入れたくなります。

よく海外では日本語は曖昧で分からないと言われますが
実は日本語はとても正確に物事を伝えすぎるので
それを的確に翻訳できる言葉が外国語にはないのでは。。

「ざらっと汚した感じで仕上げたいんだよね。コピーもデザインもさ。」
なんてことは日本人ではなんとなく普通に伝わるんだけど
そんなの翻訳できませんと言われてしまいます。

日本の商品が繊細だといわれるのは
そういった言語感覚の中で作業が共有されているからではないかと
密かに思ったりもします。

ね、日本語って、素敵だと思いませんか。

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