風呂で、コピー。
永松聖子
福本ゆみさんからバトンを受け取った永松聖子です。
ゆみさんは同じ大学、同じ学部の1年後輩。
授業中お菓子をもらっていました。勉強を教えてもらいました。
きれいで、颯爽としていて、才能にあふれていて、憧れの存在でした。
バトン落とさないよう、転ばないよう頑張ります。
20数年前、私はマッキャンエリクソン博報堂にいた。もっと日本語のコピーが書きたい、広告だけでなく作詞やエッセーも書きたい、そう思い31歳の時にフリーになった。その前年に広辞苑で朝日広告賞を受賞したので、その賞が背中を押してくれたが、正直、仕事があるのか不安だった。しかし同じ頃にフリーになった友人や、その友人の友人、その友人の友人の友人から、仕事を依頼されるようになった。そして、パルコのティーンズの仕事をすることになった。当時自殺する若者が問題になり、自殺しないで欲しいということを、パルコらしく若者に語るという内容だった。若者、自殺、パルコということで、全身に力が入り、書いても書いても硬いものばかり。明日にはパルコの笠井さんが事務所に来られる、どうしよう、終電もなくなる、これで最後にしようとワープロにたたきつけたのが「あした、考えよう。」
運よくそのコピーは、笠井さん對馬さんはじめ皆さんに気に入られ、CMやポスター、新聞広告と展開されていった。TCC新人賞もいただくことが出来た。その後シリーズ広告をつくることになり、さらなるプレッシャーで脳みそはカッチカチになった。ザ・ブングル状態だ。もうワープロの前では出ないと思い、風呂に入った。温泉の元も入れた。そうして汗とともに出したのが「考えて、考えないことにした。」である。これは年鑑に掲載された。わが子が小さかった頃は、添い寝しながらも考えた。ある時、ブスだと思っていた娘が、キレイになっていることに気づき「母の負け。」キッズのポスターに採用された。
いまも、パソコンの前より、歩きながら、電車で、風呂で、考える。ただ寝る前のベッドはいかん。悪夢を見る可能性が高いのだ。
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